第16話:今から1年後くらい先の柑菜。
私はライトとふたりで買い物にでかけた。
そして家には誰もいなくなった・・・エリザベス以外は・・・。
最近、このあたりで空き巣狙いが横行してるから気をつけてくださいって町内
放送していたことを私は聞き逃していた。
伊奈ちゃんとの待ち合わせの場所に行くと、すでに伊奈ちゃんが来て私と光人を
待てってくれた。
「伊奈ちゃん、ごめんね」
「ああ、いいよ私のさっき来たばっかだから」
「それよりまあ、ふたり揃ってラブラブだこと」
「あれからどうなのよ・・・あんたたち」
「ん〜どうなんだろ・・・」
「順調ですよ、伊奈さん」
いきなり横からライトが入ってきた。
「あらそうなんだ・・・いい感じになってるってこと?」
「いい感じどころか・・・ラブが溢れそうです」
「まあ、いけしゃあしゃあと・・・」
「もういいからお買い物に行こう・・・」
さて私と伊奈ちゃんは欲しい服があったからライトにブティックに付き合って
もらった。
ブティックって言っても店員さんが寄ってこない激安のお店。
取っ替え引っ替え、試着してライトに見てもらったけど・・・
「どう、これ私に似合ってる?」
「はい、とってもいいと思いますよ」
「さっきから、そればっかだね」
「ちゃんと見てくれてる?」
「見てますよ・・・っていいますか、基本的に柑菜さんは、なに着ても似合い
ますし可愛いですから・・・」
「中身がいいですからね」
「ですから、何を着ても、どの服も遜色ないですよ」
「あのさ、おふたりさん私もいるんだけど無視しないでくれる」
「私だって服、選んでるんだけど・・・」
「伊奈さんもどの服も似合ってますよ」
「わ〜心がこもってないし・・・」
「柑菜しか見えてないんだね」
「柑菜さんここで、あれこれ物色しなくても私が素敵な衣装を出して
あげますのに・・・」
「お〜い無視か・・・」
「もういいわ・・・勝手に選ぶから」
「あのさ、ライト・・・服は自分で選んで買うのが楽しいんじゃない」
「ああ・・・その服は、髪が長い方が似合いそうですね」
「ちょっとエレガント系な衣装は髪が長い方がいいんですよ」
「そんなこと言ったって、すぐに髪は伸びないよ」
「大丈夫ですよ・・・私にお任せを」
そう言うと光人は私の髪を撫でながら、なにか呪文を言った。
「ノビールルロンゲス」
そしたら、なんと私の髪が肩より下まで、ぐんぐん伸びていった。
「うそ・・・なにこれ・・・髪伸びてるんだけど・・・」
「わ〜ホラーだ・・・」
幼稚園の頃から、一度も髪を長くしたことがなかったから髪が長くなった
自分をお店の鏡ではじめてみた。
「おう・・・ロングも似合うじゃないですか?」
「僕、ショートも好きですけど、どっちかって言うとロングのほうが
好きなかもです・・・だから当分、それでいきましょう」
「いきましょうって勝手に・・・」
「それに急に髪なんか伸びたら会社の人たちびっくりだよ」
「ウィグですって言っておけばいいんですよ」
「それとも、もとに戻しましょうか?」
「もっとも髪を長くすると柑菜さんの寿命が少し短くなるんですけどね」
「え?それどういうこと」
「今の柑菜さんは今から1年後くらい先の柑菜さんですから」
「柑菜さんの寿命の時間を進めたんです」
「え〜・・・なにそれ?やめてよ、そう言うことするの」
「じゃ〜短い髪のままの方がいいいじゃん」
「1年くらい寿命少なくなっても人生80年のうちのわずかじゃないですか?」
「そんな呑気な・・・人のことだと思って」
「そりゃ私の寿命がいつまでかは知らないけど勝手に私の寿命縮めるの
やめてくれる?」
つづく。
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