第15話:そんなこと言ってたらキリがないじゃん。
「ダメです、会社へ行くのは一方通行なのでいいですけど街へ繰り出すと
なるとあちこち走ることになるので、より危険が増します。
「私、この地球に来る前にいろいろ学習してきましたからね」
「たとえばこの日本での交通事故の負傷者と死者の数って知ってます?」
「現在における交通事故発生件数は30万5,196件で、これによる死者数は2,636人
負傷者数は36万2,131人です・・・」
「いつ事故に巻き込まれるか分かったもんじゃありません」
「確率は極力低くしませんと・・・」
「なに調べてるの、そんなこと分かったからって役に立たないよ」
「おれにそんなこと言ってたらキリがないじゃん」
「事故に遭うんじゃないかって心配してずっと家にいたら干からびちゃうよ」
「家の中だって階段踏み外したり、ずっこけて亡くなる人だっているよ・・・」
「もうそんなこといいから・・・お買い物、行くの?行かないの?どっち?」
「もしライトが一緒に行ってくれるならバスと電車で行くから・・・それで
いいんでしょ?」
「はい・・・懸命ですね・・・ラブラブで買い物に行きましょう」
「って言うかさ矛盾してるよ、公共機関だからって安全とは限らないでしょ」
「それにラブラブってね・・・伊奈ちゃんもいるんだよ」
「ごもっとも、公共機関と言えど事故る確率はありますからね」
「それにラブラブはラブラブです・・・恋人同士なら普通でしょ?」
「そんなはっきり恋人同士って・・・」
「違うんですか?」
「まあ、どっちかって言うともう友達じゃないのはたしかだけど・・・」
「僕と柑菜さんは恋人同士なんですから、だから誰がいようが遠慮すること
なんかないんです」
「ってことで私は柑菜さんのボディガードと言うよりは恋人としてついて行き
ますから・・・」
「ベス・・・私と柑菜さんは買い物に出かけますから留守番お願いしますね」
「ベスちゃんに留守番頼んだって、意味ないと思うけど・・・」
「それは違います柑菜さん・・・ベスを普通の使い魔とあなどってはいけません」
「はいはい・・・ごめん・・・先入観でものを言っちゃいけなかったわね」
「じゃ〜ベスお留守番お願いね・・・」
ベスは「ニャ〜」って一言鳴いた。
「うん・・・返事してくれたの?賢いはね、ベスは・・・」
「やっぱり柑菜さんはベスをただのペットとして見てるんですね」
「だって、猫ちゃんもどきでしょ・・・他にどう見ろって言うの?」
「そうですけど・・・彼女のことはそのうち分かる時が来るかもですね・・・」
「まあ、いいです・・・行きましょ買い物・・・」
ごちゃごちゃ言いながらでも私はライトとふたり、伊奈ちゃんと待ち合わせしてる
場所へでかけた。
そして家には誰もいなくなった・・・エリザベス以外は・・・。
最近、このあたりで空き巣狙いが横行してるから気をつけてくださいって
町内放送していたことを私はすっかり聞き逃してた。
つづく。
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