第14話:クチビルにキス。

その夜も寝る前にライトがハグしてくれて、私の今日の疲れを全部取ってくれた。

そしておでこにキス・・・と思ったの。


「普通にクチビルにキスしていいですか?柑菜さん」


「え?・・・おでこじゃないの?」


「あのですね、物事は進歩しませんと・・・立ち止まってちゃ歴史は変えられ

ないんですよ」

「生物は常に進化してるんです」


「私たちの関係も前に進んでいきませんと・・・同じことを繰り返していたら

ダメでしょ?」


「それはそうだけど・・・まあ、私の気持ちもライトと初めてあった時よりは

ずっと進歩してると思うけど・・・」


「つまり柑菜さんは私に好意を持ってくれてるって理解していいんでしょうか?」


「う、うん・・・いいよ・・・そう理解してもらって・・・」


「じゃ〜今夜からキスはクチビルに・・・ね?」


「いいけど・・・」


そう言うと光人は私のクチビルにキスした。

それはもう、とろけそうなスイートキス。

チュって軽いキスかと思ったら、それなりに長かった。


だけどこのキス、私にとってとっても幸せな時間をもたらしてくれた。

キスされた瞬間、私は宇宙にいた、もしくは海の中?

何も聞こえない・・・穏やかで静かな世界・・・・そして眠ると必ず夢を見た。

ライトにキスをもらって以来のことなんだけど、私は毎晩素敵で楽しい夢を

見るようになった。


それはたまたま偶然だったのかと思ってライトに確かめてみた。


「あのさ、ライトのキスって普通のキスじゃないよね」


「分かりました?どうせなら悪い夢を見るより素敵な夢のほうがいいでしょ」


だって・・・。


で、今日は会社はお休み。

土曜日だって言うのにお父さんは休んでいられないって言ってお仕事に

行っちゃったし、お母さんはパート。


だから昼間は私とライト・・・それからエリザベスの三人でお留守番。


暇だよね・・・。

エリザベスは私が買ってあげた、お気に入りの自分ベッドの中で毛づくろい

していた。


暇だからライトを連れて街へ買い物にでも行こうかと思って彼を誘った。


「ねえ、ライト・・・お買い物に付き合ってくれる?」


「え?外に出るんですか?」


「そうだけど、家に閉じこもっていても暇でしょ」


「家でラブラブ、いちゃいちゃすればいいじゃないですか?」


「え〜一日中そんなことやってるつもり?」


「もっと交流を深めませんと・・・」

「こういう時間がたっぷりある時にお互いもっと深く知り合うべきです」


「じゃ〜いい・・・私一人でお買い物に行ってくるから」

「ライトはベスとお留守番お願いね」


「そうだ、伊奈ちゃんを誘おう・・・」


「じゃ〜私も行こうかな」

「って言うか、柑菜さんひとりにするとまた原付に乗って行くでしょ?」


「ライトが行かないって言うなら、そのつもりでいたんだけど・・・

向こうで伊奈ちゃんと待ち合わせすればいいしね・・・」


「ダメです、会社へ行くのは一方通行なのでいいですけど街へ繰り出すと

なるとあちこち走ることになるので、より危険が増します。


つづく。


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