第2話 戦うおっさん

忙しい毎日に加え、客先からの要望にも答えなければならない。

ある客先からは、この商品の価格を教えてほしい。またある客先からは、この商品の詳細な組成表が欲しい。またある客先からは、注文し忘れの為アレを持ってきて欲しい。急いで持っていくと、いつものほうれん草ではないね。ほうれん草と言った為カットほうれん草持ってきたが実は違うメーカーの刻みほうれん草だった等々。日々の業務に纏わりつく無駄な問い合わせ。

私は、これは無駄であると会社に進言していた。毎日の日報で報告もしていた。商品を一本化してデータ化、単価や商品の組成表等も確認できるようにし、受注入力は全て客先でお客様自身が入力し前々日で受け付け終了。その後のキャンセルや修正は受け付けない。

それをすることで無駄な紙媒体の注文書が無くなること、付箋処理が無くなること、事務員及び仕入れ担当者が細々調整することをが無くなること、人手不足で悩む会社への貢献度や、データ化することでそれを用いた商品整理及び販促力強化、強いては客先が見積もりや組成表を待つこと無くその場で確認して注文が出来るタイムロスが発生しないこと等々、データ化は必須であることを毎日のように日報で報告をした。

結果としては、一切受け入れられず、挙げ句の果てに会社側から白い目で見られるといったことがあった。それ以来やる気を無くし、ただ淡々と作業をこなすようになっていった。仕入れや事務員から、注文書を分かりやすくするよう客先に伝えてはくれぬかという問いに対しても、データ化しちゃえばそんなこと無くなるのにと皮肉を込めて声に出しつつ、分かりやすくするよう言われたとだけ客先に伝え、分かりやすくとは?と聞かれれば分からないので事務員とやり取りをするようにと伝えた。

そんなこんなで、自分の仕事を出来る限り最低限に抑えてはみたものの、一向に改善しない客先の注文書分かりづらい問題に関して、遂に事務所側がキレた。

お前は何をやっとるか!分かりやすいどころかますます分かりづらく細かくなっとるやないか!

私の言うことは一貫している。データ化しちゃえばそんなこと起きません。ですから皆でデータ化しちゃいませんかと会社側に要求することが全ての解決の糸口になると。それをせずにこのままただ呆けて会社のやり方が今こうだからこうしましょうでは、社畜となっていることを問いただすが、やはり目の前の諸問題を解決することが一番と考える人が多く、私の言葉は空に消えていく一方であった。

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