おっさん珍道中3

紫音

第1話 ある日の

早朝5時。

やるべきことは変わらない。

出社前の身支度、風呂掃除、朝飯作り、洗濯物干し。

ここまでが私の役割であった。

嫁と息子は6時には起きてくる。それまでに洗濯物干し以外は片付ける。洗濯物干しが最後になるのは、二階の物干し場と寝室が隣り合わせで、嫁と息子が起きてからでないと出来ないためである。一度起きる前に物干しをしたところ、烈火の如く煩いと嫁に怒られた経緯があるからだ。

家事を済ませ、嫁と息子が食べている横で、1人コーヒーを啜りながら朝のニュースを観ている。あまり興味はないが、占いを観てから家を出る。

ルーティーンということであれば、ここまでが私の朝のルーティーンである。


朝7時過ぎに会社に着く。

食品卸売業の1日は激務だ。決められた時間に取引先への荷物のルート配送兼営業。帰社してから倉庫内ピッキング作業。それらを終えてから見積もり、サンプル手配、商品の組成表の用意、賞味期限の近い商品の拡販準備、新商品や価格改訂のお知らせと見積もり、事務員が注文の意味が分からないと付箋を貼っている山積みの紙媒体の注文書の付箋処理等である。これが月末月初になると、会社へ提出する実績報告書等をまとめなければならない。

毎日時間に追われていて、昼食を取る暇もない。というか、昼食を取る時間があれば一服の時間に充てる。そうでなければストレスに耐えられず発狂してしまうからだ。あくまでも、俺の場合だが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る