第8話
「おやっさん、真をデリヘルに売り飛ばすって
はなし」
組事務所で犬飼が包茎勃起に
直談判していた。
「あれ、もう少し、待ってもらえませんか?」
「ああ、あれか」
「ええ」
「あのことはもういい」
「えっ?」
犬飼は包茎の返事が意外だった。
「真はシャブ漬けにして香港かマカオに売り飛ばす」
「おやっさん」
「シンジケートの連中が一億ほど出すって
いうんでな」
「おやっさん、それじゃああんまり」
「人の心配より自分の事を心配しろよ、犬飼ちゃん」
包茎が犬飼の肩をポンポンと叩いた。
「すまないねーっ、勃起」
すると事務所の奥からポメラニアンをつれた三十前後の妖艶な黒髪の
美女が顔を見せた。
「これは、お頭さま。おそれおおうございます」
包茎がその場に土下座した。
「ホラ、犬飼、テメエも頭を下げねえかい。
このかたは不知火(しらぬい)銀子さまだぞ」
「不知火、あの日本中の暴力団を
影であやつっているという」
犬飼はしばらくその場に立ち尽くしていた。
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