第6話

「なあ、真。オマエにちょっと

あやまりたいことがあるんだ」

放課後、教室でタナハシが真に

頭を掻きながら喋った。

「あとで校庭の裏庭にひとりで

来てくれないか」

「えっ?」

真は少しためらったが、タナハシのいったことに

従うことにした。


「なに、タナハシくん」

真がそうたずねると、

「へっ、へっ、オマエはやっぱり無防備な

バージンのお馬鹿さんだぜ」

タナハシが豹変した。

「オラ―っ、早く服を脱げよ」

タナハシが真に襲い掛かる。

「オレもズボンを脱ぐからよ。へっへっへっ」

「キャーッ、やめて、やめて、タナハシくん」

「叫んだって誰も来るもんか」

「たっ、タナハシくん」

真がそう大声をあげたとき、

「真」

枝木がやぅてきた。

「タナハシ、てめーっ」

枝木がタナハシにおそいかかる。

枝木とタナハシが絡まり合って激しく転がった。

「ケッ、枝木。テメエ、白馬に乗った王子様のつもりか」

タナハシがそういうと、枝木が何発もタナハシの

顔面を殴りつけた。

「ウッ、グっ」

「ともかく、もう二度と真に近づくな。近づいたら

殺す。いいな」

「ケッ、覚えてろよ」

タナハシが逃げるように立ち去った。

「真」

「ウッ、うえーん」

真は枝木の胸の中でずっと泣き続けた。

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