第5話

「よお、枝木、久しぶりだな」

「お久しぶりです、犬飼さん」

枝木と犬飼は高校の先輩後輩の間柄で

一緒に甲子園の夢を追いかけた仲間だった。

日曜のスタバには親子連れや恋人たちが

たくさんいて、にぎやかだった。

「話ってなんですか?」

「なあ、枝木」

「ハイ」

「真向のことどう思う?」

犬飼が身を乗り出して聴いてきた。

「真の事ですか?」

「ああ」

「いい友達です」

「それだけか?」

「そっ、そうです」

二人の間に一瞬の間があった。

「オレは真のことを心から愛している」

「そっ、そうですか」

「大人の愛だ。真がどうであろうとそのことに

偽りはない」

「ええ」

「真をオレから守ってみろ」

「えっ?」

「今日はそれだけをいいにきた」

犬飼が立ち上がり去って行った

「ちょっと、わけわからないんだけど」

枝木はそうつぶやくと、伝票を握り締めて

カウンターに向かった。

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