第2話

茶杓は、【景色を楽しむ】文化があるのだそうだ。

これを踏まえて、材料の選定を行うのだ。

材料置き場の中から、使えそうなものを見てみる。


①ツルツル肌の綺麗なもの

②ボツボツ模様のあるもの

③油抜きしすぎで、焦げ目のあるもの


選ぶとしたら、

①は工夫が少ないような気がするのでボツ

とすると、②か③だが、


③は焦げ目があるってことは、

強烈に乾燥しているので、加工しにくいということ。


以上から②とする


材料を手に取り、しげしげと眺めてみる。

曲面がきついところと、ゆるいところがあるようだ。


まずは、粗引き。

ゆるいところを残すように、ナタで割り、

棒状の素材を得る。


のこぎりでノーマルスプーンと同じくらいの長さに

切断します。


このとき、杓の景色がさらに映えるように、

中間より少し手前に、フシがくるようにしました。

ボツボツのある面が、上面となります。


次は形状を整えます。

加工用ナイフで、薄くしていきます。

厚みがあると、ヤボったい感じがするからです。


茶をすくう部分は、持ち手の部分より、

薄くなるように加工します。


素材が完成しました。



サンドペーパーで磨きます。

250番

400番

600番

1500番の順で磨いていきます。


磨き終わると、すっかりピカピカになりました。



次は、曲げ工程です。

バーナーを持っていないので、

調理用のガスコンロでやります。


弱火にして、距離をとって炙ります。

ほどよく熱くなったところで、曲げます。

まずは、背中にソリを作ります。

曲げた状態で、冷まします。

と、ソリができました。


次は、いよいよ救う部分の曲げ加工です。

キツクしないといけません。

曲げがアマイと、うまく救えない現象が起きるからです。


炙ります。

曲げます。

なかなか曲がりません。

炙ります。

曲げます。


と、ミシミシと音がします。


折れました


残念。



気を取り直し、

折れた部分を切断し、リトライします。


ナイフで削って形状を作ります。

ペーパーがけをします。


再度曲げ加工をします。

今度は、炙りを少し長めにしてみましょう。

炙ります。

炙ります。

曲げます。

曲がりません。

炙ります。

炙ります。

炙ります。

火を噴いて、燃えました。


終了。


認めたくないが、どうやら失敗のようです。


さて、どうする?


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