【西郷隆盛】戦争の仕方、教えてやるよ
西郷隆盛は、戦況が順調に進展していく中、心の中で静かな興奮を感じていた。陸軍がアメリカ軍を押し込んでいるのを見ると、自然と顔がほころんだ。大陸の西端まで追い詰めることができれば、あとは一気に勝負をつけるだけだ。敵軍が分裂して逃げ惑うさまを見て、戦場の熱気が一層高まるのを感じた。その光景は、西郷にとって、まさに戦争の醍醐味そのものだった。
「これはもう、勝ったも同然だ」と心の中で呟くと、彼の表情には自信が溢れていた。戦いこそが西郷の本能にぴったりと合うものだった。だが、油断せず、冷静さも欠かさない。次の一手が鍵を握ることは、軍人として身に染みて理解している。
**
数週間後、ついに陸軍はシアトルにまで迫り、作戦は第二段階に突入しようとしていた。西郷は、そのタイミングを見計らい、部下に向かって命じた。
「一度、全軍を撤退させろ」その命令を聞いた部下たちは一瞬戸惑い、疑念の表情を浮かべる。しかし、西郷は動じることなく、穏やかな口調で続けた。「しばらくすれば、意図が分かるだろう」
そして、数分後。遠くから轟音が響いた。それは、大砲の音だった。西郷はその音を聞き、確信を深めた。海軍の勝海舟が、ついに海から援護射撃を始めたのだ。
「今だ!」西郷は手を挙げて、進軍を指示した。「敵軍は混乱している。このまま一気に押し込め!」
その言葉通り、アメリカ軍は瞬く間に崩れ、狼狽して南へと後退を始めた。西郷の目には、その様子が非常に滑稽に映った。あれほど強大に見えたアメリカ軍が、まるで目の前に立つ猛獣に恐れをなして逃げる小動物のように見えたからだ。
部下が尋ねてきた。
「西郷将軍、このまま南下しますか?それとも戦線を東部へと広げますか?」
西郷は即答した。
「南下優先だ。メキシコとは西部を一点集中で攻めると約束した。東部の戦線はそこそこにしておけ」彼の眼差しは鋭く、戦略の一環として無駄な広がりを持たせず、目標に絞るべきだという強い意志が感じられた。
「かしこまりました!」部下は即座に答え、再び命令が下された。
西郷は内心で戦争の終息を予測していた。この戦争の目的は、アメリカの西海岸を手中に収めることにあった。戦線を無駄に広げて国力を浪費するような愚行はしない。むしろ戦争の長期化を避け、早期に勝利を収めることこそが最良の策だと西郷は確信していた。軍人として戦うことが最も価値のある仕事であっても、戦の後の国の負担を思えば、その先に待つ責任も考えねばならない。
そして、陸軍が南下を続ける中で、ついにメキシコ軍と合流する時が来た。場所は、大陸横断鉄道の近くであり、まさに戦略上の重要なポイントだ。
「そちらのリーダーは誰だ?」西郷が尋ねると、一人の男が前に出てきた。その男はメキシコ軍の指揮官で、誇り高き姿勢で西郷に答えた。
「私です。今回の勝利はメキシコの支援がなければあり得ませんでした。改めて、感謝の意を表します。選挙の時にお世話になりました。そのお返しです。アメリカに復讐できて、こちらも満足です。」二人は固く握手し、戦友としての絆を確認し合った。
西郷の胸には、次の戦争を指揮できる可能性が大きく膨らんでいた。伊藤博文が、この勝利を受けて戦争への意欲を深めるだろうことは想像に難くない。そうなれば、再び自分の手で戦いを仕切ることができる。そして、その先に待つのは、アメリカとの一対一の戦争だ。
「次こそは、アメリカのトップ、リンカーンの首を手土産にしよう」と心の中で決意した西郷は、戦争に対する熱い情熱を再確認した。彼にとって、戦争はもはや単なる戦闘ではなく、人生そのものだ。それを楽しむために生まれてきたとすら思っていた。
伊藤博文の反応を想像しながら、西郷は次の戦いに備えて心を躍らせていた。勝ち続ければ、どんな状況でも問題ない。戦争さえあれば、それで十分だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。