初めてレビューを投稿します。
主人公・フミカが、とびきりチャーミングでキュート!な友人たち(クロちゃんがお気に入りです!)たちと出会い、たまに別れて過ぎていく生活が、とにかく楽しいです。
ときどき「あれがこんなふうに登場するの!?」とわくわくする秀逸な設定(特に、ブックオフまわりの描写には感動…)や、愛らしくも頼もしい『キョウさん』『うんぱんくん』といったすこし未来のガジェット、『ヌル・モニュメント』や恐竜など『ムー』的なイマジネーションの広がりなど、とにかくさまざまな角度からさまざまな美学が繰り出されます。
でも『るる ひょうひょう』の好きなところはそれだけではなくて、未来の話でありながら、読みながらひたひたとノスタルジーが迫ってくるところがたまらないです。
人は、移動しているときだけは本当にひとりでいる、という話を思い出します。
車の中で光が流線になって過ぎていく景色や、夕焼けが終わっていって窓の外に夜が幕を下ろしていく景色。
長距離移動をしているとき、そういうものに無性にそわそわした感覚をフミカの語り口に重ねてしまい、胸がぎゅっとしました。
素敵な作品をありがとうございました!
本作は、作者自らの作品紹介で述べられている通り「ロードノベル」だ。
ただし緑の地を目指したり轢死体を探すような、最初から明確に目的地や目当ての物が設定されていてそこに辿り着くまでの話ではない。
主人公は少し先の未来社会の女子高生兼トラックドライバーとして、仕事で全国のあちこちを巡る。また、その途上で出会う人々の関わりの中でも様々な場所を訪れる。
物語の最後に向かう場所がどこなのかは終盤まで分からない。
そして物語のテーマ的にも「目的地の分からなさ」は重要だ。
主人公は旅の中で「AIが遺す謎のオブジェクト」や「時間を行き来する一族」「古代生物の幽霊」等の不思議な事物にふれ、過去から現在そして未来への遥かな時間の流れに思いを馳せるようになっていく。
空間的にも時間的にも確かなゴールは見えず、しかしそれでも「どこか」へと自分達は流れ漂っていくということ。
そのゆっくりと蛇行した道行き、そのあてどなさこそを淡々としつつ精細な筆致で綴っていくのが本作の魅力だ。
そして物語のラストではそのテーマ性を凝縮したような神秘的な光景が待っている。
あくまで主人公の少女の視点から外れないミニマムな語り口でありながら、いやだからこそそこから見える世界の果てしない広がりが実感できる、奇麗な作品だった。
ちなみに1ヶ月半ほどの日刊連載という形式も、少しずつの旅に付き合っているような感覚で、作風とリンクした毎日の楽しみでした。
レ、レビューと感想って違うものですよ、ね…?私に「レビュー」が書けるかどうか分かりませんがDAISUKI!を記したいので頑張ってみます。
まずは執筆お疲れさまでした!
Xやblueskyに更新時添えておられたイメージアートも素晴らしく…えっ ご自身で撮った写真と組み合わせで作成したの?マジで?!
そう、そうなんですよ(どうなんだよ)都市と自意識クンの旅先チョイス&写真から感じ取れる空気の味が大好きでこの視点を持ってる方の書くお話が良くないわけないじゃない。
女子高生がお助けロボをお供にトラックドライバーをしながらリモート授業を受けてる、って状況&状態の説明だけだとオッ戦車道的なジャンルですかな?となるのですが(なるか?)(戦車道とか言って大丈夫?消される??)お話の中で描かれてる未来はいま私たちが暮らしている現在〜ココ〜の延長線上に確実にあるな、と思わせてくれます
(て言うか「延長線上」そのもののお話である、と思います)
それは登場人物(ロボットくんたちも含みます!)たちの暮らしが描かれているから。あと好きなものが違っても自分以外のコの好きなものを知ったり見せてもらったり一緒に楽しいをしてるのがすごく…良いよね…今日は私の好きなものを見てもらいますっっ!(メリメリメリッ)って感じじゃなくて、扉はあるんだけど、相手に許可も事前に取るんだけど、自由に行き来してる感じが。
「道」があって「足」があることで私たちもどこまでも行ける、ありきたりな言葉でスマンけどヨシって立ち上がる元気を貰える最高のお話でした。
(てか常に最新作が最高なのほんと笑顔止まらねー)
P.S.(いまこれ意味通じる?)イメージ写真集とか出ませんか?!
P.S.②その時はフード写真も添えてほしいんだぜ!
「都市と自意識」さんは、一般には省略されてしまうような細部の描写を丁寧に積み重ねてその積み重ねがやがて作品の魅力の中核となっていくような小説の書き手です。本作でも繊細なディテールの描写の積み重ねによって、長距離ドライバーとしての労働と勉学を両立している高校生の主人公が、ロードサイドで同世代の友人たちと出会い、関係を深めていくほんの少し未来の青春模様が生き生きと描かれています。フィンランドの最終処分場オンカロ、防火壁として機能する長大な団地・白髭東アパート、賞味期限切れのオイルサーディンを珍重する食文化、AIが作る記録不可能な巨大モニュメント、山頂の電波塔で記録される恐竜の幽霊、野生の自律型ロボットに守られた天使の化石などなど次々と登場する実在・非実在の多彩なガジェットも魅力的です。基本的に明るいトーンの作品ですが、繰り返し言及される大量絶滅と壮年期の大人のポジションが子供やAIに代替されつつある社会の様子が醸し出す若干の寂しさが全体をピリッと引き締めているように感じました。