第43話

「······離れてもらえません?」


「嫌。俺はずっと尊ちゃんの隣にいる。」


「えぇ······」




どうして彼は私をこんなにも好いているんだろうか。




友達でもなければ、顔見知りなわけでもない。




だというのに、あまりにも強すぎる執着心。




確実なのは、この人が"ヤバい"人だってことだけだ。




「ホントあの······みんなの前なんでいい加減······」




必死に目を逸らして見ないようにしていたけど、さっきからクラスの女子たちからの視線が痛い。




そりゃそうだ。クラスの美少年が転校生にデレデレしている光景を見せつけられているんだから。




おい〜〜〜!逃げるな私の好感度〜〜〜ッ!




「あの!私の話聞いてます!?」




もうこれ以上好感度を下げるわけにはいかない。早急に引き剥がさなければ。




私の言葉にピクリと反応した彼は、熱っぽい視線で私の顔を一瞥して大きく息を吸い込んだ。




「ふふっ。尊ちゃんの髪すっごくいい匂い······!」




ダメだ。聞いてねぇこの人。

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