第42話

「尊ちゃああああああああん!!」


「······へ?」




叫びに近い声とともに、満面の笑みを浮かべながら猛スピードでこちらに向かってくる黒髪美少年。




次の瞬間、私の体はふわり、と温かいものに包まれた。




首筋に顔を埋める彼の髪がチクチクして擽ったい。




そして微かに香るシャンプーの匂いが、このありえない状況ををこれでもかというほど再認識させる。




待て待て。意味がわからない。全くもって理解できない。




······なぜ私は抱きつかれている?




そもそも、いきなり抱きついてきたこの不審者、誰?

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