第28話

音を立てて閉まりきったドアは、よりこの部屋の重厚感を加速させる。




先生がいなくなった部屋は不気味なくらいに静かで。




······いや、今までが騒がしかっただけか。




そう脳内で自己解決しながらティーカップのお茶を啜る。




「おいしい······!」




鼻から抜けるダージリンの香り。ほどよい渋みもあるけど、それがいいアクセントになっている。




お母さんに頼んで朝は紅茶にしてもらおうかな······




「······はっ!」




何やってるんだ私は。今日は試験を受けに来たんだぞ。




頭をブンブンと振って、ほわ〜っとハイな気分になっていた頭を必死に戻す。




とりあえず、この短時間でわかったことと言えば。




『赤札』っていう不良集団がいること。




そしてBクラスにはその『赤札』のメンバーが多数在籍していること。




······くらいか。

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