第22話

「あ、あそこ。あれが試験会場だよ。」




私からの訝しげな視線を華麗に無視して、建物を指差す会ちょ······いや、モンスター。




「あ、あの赤い屋根の······ですか?」


「そうそう!」




なんだあの建物は。教室······じゃなさそうだし、体育館なわけでもなさそう。




「じゃあ、試験頑張ってね。僕は仕事があるからこれで。」


「······は?」




そう言って私を立たせると、ヒラヒラと手を振りながらそのまま颯爽と来た道を引き返していった。




「うそ、でしょ······!?」




無慈悲とはこのことだ。




どうやら、この人の頭には"アフターケア"という言葉が欠落しているらしい。




······この学校、ホントに大丈夫なのか心配になってきたんだけど。




「はぁ······とりあえず歩くか······」




仕方がない。いくらグロッキー状態とはいえ、今後を左右する試験に遅れるわけにはいかないのだから。

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