第11話

「なら少しくらい悲しそうな顔しなさいよ。」


「そう言われても······」




"そんな簡単にできたら苦労しないよ"




そう言おうとすると突然顔をむにっと引っ張られ、頬が伸びる感覚。




「······いひゃい」


「アンタのほっぺはモチだね〜。ほら、のび〜るのび〜る。」


「やめひぇよ(やめてよ)」




こうやってたわいもない会話ができるのもあと少し。




そう思うと、楽しさの中にちょっとだけ寂しさが混じった。




するとパッと手を離されようやく元に戻る頬。······赤くなってたりしないよね。




「ところで、転校先はどんなとこ?校舎綺麗?イケメン多い!?」




······宵が本当に聞きたいのは最後のやつだけでしょ。




イケメンいたら紹介して〜、とかそんな感じ。




「まだ詳しくはわからないけど、『逢見高校』ってところらしい。」


「ふ〜ん、響きはカッコイイじゃん。······よし、どんなところか調べてやろうじゃないの!」」

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