第8話

するとタタタッと小走りで駆けてくるお母さん。




その額には少しだけ汗が滲んでいる。




「ごめんね尊。転校ばっかりさせて。」




眉を下げて申し訳なさそうな顔をするお母さんに、何故かこっちまでいたたまれなくなってきてしまう。




「いいのいいの。逆に考えれば人より色んな学校に行ける、ってことでしょ?」


「······ふふっ、尊らしいわね。」


「そうかな?」


「そうよ。」




そりゃ転校ばかりしてたら嫌でも慣れるというか。悲しんでも無駄なこと分かってるし。




「来週には引越しだから、残りの高校生活は大事に過ごしなさいね。」


「はーい。じゃ、いってきます。」


「いってらっしゃい。」

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