第6話

「尊ぉ…智佳ちゃん······」





妻と娘に見捨てられたお父さんは、一人メソメソしながらトンカツを頬張っている。

この光景は日常茶飯事なので、いつも通り無視だ。





「今回はなんてとこ?」


「たしか逢見高校、だったかしら。附属中もあるから悠真はそっちね」


「附属中かー、なんか結構いいとこそうだね」


「大学も内部進学で行けるらしいわよ」


「ホント!?それめちゃくちゃいいじゃん!」





転校ガチ勢の私にとって、学校のイメージの善し悪しは死活問題。

少ない学校生活、できることなら楽しみたいじゃん!?




「尊、いいの?」


「え?」





いや、何がだよ。主語を言え主語を。

心の中で軽くツッコんでいると、お母さんは徐ろに顔を近づけてぼそっと呟いた。






「早く食べないとトンカツ、パパに取られるわよ。」

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