第4話

「あれからお兄ちゃんとはうまくやれてるの?」


「あー…う、うん。もちろん!」



咄嗟とっさに肯定はしたものの、頬をかきながら必死に言葉を選ぶ私に、お母さんのまっすぐな視線が突き刺さる。きっとお母さんには全部お見通しなんだろうな。




「じゃ、じゃあ!そろそろバイトだから!」




少し重くなってしまった空気から逃げるようにして、病室を出ようとしたその時、



「沙那」




名前を呼ばれて思わず振り返る。その視線の先には、いつになく真剣な顔のお母さんがいた。



「いつもありがとう。頼もしいよ」




そう言ってまたふっと微笑むから、思わず目頭が熱くなる。




―――――ああ、お母さんには本当敵わないな。

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