第10話 雨天の奇襲(前編)
私の領地を吸血鬼のサミエラが出ていく前に言っていた。
「私たちが潜入中にかなりの大雨になると思うから、その時に攻撃を仕掛けてね」
相変わらず無茶を言う。
私の魔物は蛇型だから、変温動物で体温調整がしにくいから、雨の中の攻撃はかなり体のパフォーマンスが悪いだろう。
まあそれよりも相手のエルフの索敵能力の高い耳を封じ、熱探知できる蛇ならば勝てるだろうがそれでもこちらがかなり死者の出る戦いになるだろう。
魔の森を進む間に狼男のバンに遭遇した。
もっとも今はオオカミが2足歩行した姿のウルフ・ソルジャーの姿になっているが。
「エルフの長老たちが住む集落はこの地図に示すとおりだ」
「情報ありがとう。私たちは今から襲撃に向かうが君も一緒に来る?」
「私は急遽この森に来たジョセーヌの対処に向かうつもりだ」
「分かったわ。気を付けてね」
「そちらも気を付けろよ。」
示された場所に向かうと大きな木がありその上に巨大な木造の建築物があった。
でかい蛇で気も容易に上ることができるボア・スネークに木を登らせ木の壁を破壊させる。
次々と侵入させるが中にいたエルフたちが魔法を放ち爆発魔法のバーストを起こした。
一人が風魔法、もう一人が火魔法を放ち混合魔法により爆発を起こす。
屋内だからこそ雨をしのげて効果があるのかもしれないが、
起こした火が引火していく。
木造の建物という防御地点がなくなると思えば諸刃の剣だ。
ボア・スネークの大量突入と爆発によって穴はかない大きくなった。
そこから私が突入する。
もちろん目隠しは外して、室内に入った瞬間視認した前衛で魔法を放ったエルフを石化した。
私がほかのエルフたちを視認しようとした瞬間、視界が砂嵐状態となった。
土魔法で砂を生成、風で散らした混合魔法であるサンドダスト、相手の位置は熱感知で特定はできるが、石化するには実際に視認しないといけない。
他のエルフたちは塵じりに外へ逃げ出した。
こちらは位置は分かるのですべてを倒すことができるだろう。
そう思った矢先に自分がいた室内から見て壁に無数の小さな穴が開いている。
数秒後に痛みを感じた。
腕部分に小さな穴が開いた。
熱感知で敵の動きを見てわかった。
まず、小さな丸い球状の石を作り出しそれを先ほどのバーストで爆発による推進力で飛ばしている。
三人係で土魔法、火魔法、風魔法を合わせた混合魔法だった。
道理で壁を貫通した後でも殺傷力があったわけだ。
魔力だけの推進力ではこうはならない。
最近エルフが良く使っているという噂の混合魔法か。
ここまで私たちより精密な魔法を扱えるとは思っていなかった。
とはいえ彼らから見れば私の位置は壁越しでは検知できない。
私たちの熱感知もなく、得意な聴力も使えないから。
とはいえこの状態で大雨だとしても外に出るのは危険だ。
とりあえず、ボア・スネークたちにあたりのエルフを襲わせておく。
だがエルフは自分たちが攻撃される前にボア・スネークを倒している。
この雨の中感知できるのか。
思ったより時間を食いそうだ。
目の前にリンとジョセーヌがいる。
ウルフ・ソルジャーの姿だが雨で視界も聴覚も臭いもうっすらとしか知覚できないが、サミエラの残した微小の血のにおいは今まで何度も嗅いできたからだいたいは把握できたどり着いた。
四足歩行から二足歩行に切り替え、背中に背負った斧を取り出しそのまま大きく振りかぶって、切りつける。
完全な不意打ちなはずなのに反応された。
土の壁を魔法で作り出し、攻撃を防がれた。
勢いよく切りつけたから斧を抜くのに時間がかかる。
「バースト」
ジョセーヌの声が聞こえた。
その瞬間土の壁が爆発こちら側に無数の破片が飛び込んできた。
全身に破片が刺さっている。
エルフが主に使いだしている複数の属性を組み合わせた混合魔法は一人で多種類の魔法を組み合わせるのは難しいことから複数の人たちによる共同で発動するのが基本となる。
そのため、協調するため指示を明確にするため、一方が魔法名を発言するということだ。
混合魔法を封じるためにもどちらかを戦闘不能にするべきだろう。
ならば相対的に弱いリンを潰すべきだ。
とはいえ傷を負いすぎている。
一刻も早く決着を付けないとこちらが負ける。
結局俺は近距離の攻撃のして逃げるを繰り返すヒット・アンド・アウェイを繰り返すしかない。
再びリンに攻撃を仕掛けた。
ビクっと体を動かされ避けられて顔に少し擦り傷を負わせる程度だった。
そのまま彼女が倒れたので追撃しようとした。
その時俺をめがけて岩の杭が地面から突き出してきた。
肩が突き刺さった。
ジョセーヌの土魔法ストーン・スパイクだろう。
ジョセーヌから私のいる一帯の地面が大きな岩でできた針地獄となっていた。
「リンちゃん大丈夫?危なかったね。
こいつをちゃんと仕留めてから手当てをするからね」
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