第8話 再会
今日も私はエルフの授業に参加していた。
「今回もロックトータスを倒してもらいます。
しかし使う魔法は土魔法でお願いします。」
「私がやります。」
いつも通り真っ先にランが手を挙げた。
「では始めてください」
ランは最初土魔法で大きな岩を作ろうとしたが、うまく発動せずに魔力をロックトータスに吸い取られ、岩でできた体が大きくなっていた。
「ロックトータスの近くで魔力の土魔法への変換をしようとするとその変換を自身の体の修復、強化に使われてしまいます。
遠くで変換してから攻撃に用いるのが得策でしょう」
その後彼女はロックトータスのかなり上の方に大きな岩の塊を作り出し、重力に任せてロックトータスを押しつぶして倒した。
今までエルフの授業に参加して分かったことがある。
ランという少女は同年代と比べてかなり魔力量が多い。
そのため今回のように物質量の大きい岩で無理やり押しつぶす方法が可能なのだろう。
「他にやりたいものはいますか?まだロックトータスはありますよ。」
誰も手を上げなかった。
あの魔力の使い方を見て次にしたいというものはまあいないだろう。
「あなたがやったらいいんじゃないのソラ(シャミ―ニア)。」
みんなが一斉にこっちを向いてきた。
「前の授業の時も参加したし今回は遠慮するよ。土魔法もよくわらないし」
「別にあなたは人でこの授業も貴重な機会なんだし遠慮することはないわ。
それに前回も風魔法はあまり使えない感じなのにできたじゃない」
妙に突っかかってくる。
別に目立ちたいわけじゃないからあまり気乗りがしないがここまで言われて参加しないのも変に目立つ仕方がない。
「分かりました。」
私にはあんなに魔力量がないので同じようなやり方はできない。どうする?
その時昔の記憶がよみがえった。
勇者たちが魔の山脈に穴を開け攻めてきたとき、やつらは土魔法で非常に石レベルの小さな大きさを作り出し飛ばすことで、私や私の母を貫いていた。
私は同じようにイメージして石並みの大きさを作り出す。
「・・・これは!」
ラルフ先生が言った。
そのまま放った。
小さく作った球はロックトータスの甲羅を貫いた。だがそれだけだった。
「そんな小さな量しか土魔法で生成できなかったの?」
馬鹿にした物言いだっただが
「いや違う。できるだけ中心に集めるように生成することでその分密度を高めて貫通力を上げている」
背後からそう聞こえた。
そういったのは魔導士のジョセーヌだった。
あの時執拗に私を追って攻撃し、
彼女と共にする勇者たちが私のお母さんを殺した。
淡々と集団の暴力で殺した。
なんであいつがここにいるんだ。
「できるだけ大きく生成して敵を攻撃するストーンボール、貫通力を上げるため先端を鋭くして飛ばすストーンスピア、そしてさらに貫通力を上げるために出来るだけ密度を大きく、大きさを小さくした『ストーンバレット』、バレットとは小さいを表す単語『ェット』と球を表す『ボール』を合わせて作られた言葉だ」
「ジョセーヌ姉さん!」
ランはそういってジョセーヌに近づいた。
「久しぶりに帰ってきたよ。今まで勇者たちに散々とこき使われたよ」
あの時は黙々とただ私たちを倒すために動いてたやつが平然としていた。
二人とも笑顔で再会を喜んでいる。
私は自分の気持ちが表情に出ないようにするのが精一杯だった。
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