第6話 エルフの学校
助けたエルフ?(ポイズンバットに襲わせて、毒を仕掛けて、治療する予定のエルフ)
の名前はリンだった。
私たちが案内された場所は高い木々の上に一つの大きなツリーハウスがある場所だった。
ついたころには朝になっていた。
「これがエルフの集落?」
「いや、まあここは学び舎集落と言われているわ、入ればわかるよ。」
そのツリーハウスに入ると中には数十人の子供のエルフが椅子に座っており、それぞれの机の上で紙に何か書いている。
みんなが顔を向いている方向に大人の男のエルフが立っていた。
「ここはいわゆる学校みたいな場所か」
「学校?なにそれ」
サミエラはさりげなく足のかかとで私の足を踏みつけた。
普通に痛い。
「人間なのに学校を知らないの?変わった人ね」
「いやー。こいつは昔に両親を亡くして、ずっと孤児としてひっそり生きてきたんですわ。
あんまり同年代に触れたこともなくてね」
「治療はこの建物の二階でお願いしてもらっていいかしら」
私たちが階段を上ろうとしたとき、サミエラは私に振り返った。
「ついでにあなたもエルフの授業を受けたら?」
にこやかに微笑んでくるが、目が笑っていない。
かわいそうな孤児の私を気遣う良心的なふりをして、おそらくこの授業の内情を探れとのことだろう。
血も涙もない。
「分かったわ。ラルフ、この子も面倒見てあげて。」
「・・・はい。分かりました。」
リンが男性のエルフに向かってそう言った。
私が椅子に座った後、さっきまでと同じようにしゃべりだした。
「私たちエルフはほかの種族に比べて風の魔法適性が高く優れていると評価されています。
さらに個体数が少なく、消耗を抑制する首長の方針から弓を使えるように訓練されています。
今回は実践的な授業を行うため、外に出ます。」
私たちはツリーハウスから出て、地面に降り立った。
そこには全身の形や色合いが茶色い岩でできた1mくらいのカメのようなものがいた。
「こいつはロックトータス、甲羅はとても固いのが特徴だね。
今回はこいつを風魔法を用いて倒してみなさい。さあ、誰から行きますか」
「はい、私がやります」
そう言って手を挙げたエルフの少女がいた。
「ではラン。お願いします」
その少女が手をロックトータスに向けて風魔法のトルネードを放った。
局所的にそれも大きな竜巻が起こり、ロックトータスを宙に浮かし、あたりの木々や地面に何度もぶつけさせた。
少しだけ傷を負った状態になったがそれでも、ロックトータスはまだ元気だった。
「それまで、ラン、もう少しスマートになりなさい。そうしないとお姉ちゃんみたいな大魔導士にはなれないよ」
「そんなー」
「では次にやりたい人」
「はい」
私は手を挙げた。
「・・ではそこのあなたやってみてください」
私も同じように手を向けて、風魔法を放とうとした。
しかし、うまく発動ができない。
「・・・あなた今まで魔法を使ったことがないのですか?」
「はい」
周囲のエルフの子供たちから嘲笑を受けた。
「風魔法なら周囲で普段起こる風の流れや音を思い出し、それが自分の手を向けた方向に集まることを意識しなさい」
言われた通りのことをした。風魔法のトルネードを発生させることができた。
先ほどのランの起こした竜巻よりかなり小さいが。
「わぁなにあれ?ちっちゃ」
それでもロックトータスを浮かすことはできた。
その竜巻をどんどん上空に持っていく。
高い木々の上の方までゆっくりともっていった。
そこでトルネードを解除した。
ロックトータスはどんどん加速して勢いよく地面に衝突した。
ロックトータスは意識を失い、背中の甲羅も割れていた。
「素晴らしい。
微力ながら落ちる力を用いてロックトータスを倒しました。
このようにして少ない魔力で倒すことができます。
あなたたちはこれからも、効率よく確実にエルフの脅威を排除するための知識や戦い方を身に着けてもらいます」
この倒し方はよくお母さんがしていた。
足は遅く、空中で逃げるすべがないから効率が良いと。
よく倒したロックトータスを料理して食事したものだ。
そう感傷に浸っていた私を恨めしそうにランは見つめていた。
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