第5話 エルフ集落潜入

「分かりました。私たちは人の姿に見せることができるので、魔の森やギルド連合国を通ることができるというわけですね」

「情報収集後の攻撃については私が行うから、あなたたちは事前に調べ上げるだけでいい」


 ソフィ―は目隠ししているのに顔をこちらに向けて話している。

蛇は熱で生物を感知できるからメデューサもきっと見えているんだろう。


「エルフは魔の森と私の領地との境界も監視したりしているから、侵入は夜中にしてギルド連合国から出入りした人だと思わせる。

とりあえず、エルフの集落周辺を少し見回ってくれるだけでいいよ」


 彼女の反応から私たち三人に対してそれほど期待していないらしい。

「じゃあさっそく侵入してみるか、君もさっさと人の姿に変えて」

 そんなに楽に変身できるものじゃないのに、かなり魔力消費するからつかれるんだけど仕方がない。



 そのまま私たち三人は魔の森に入った。

吸血鬼のサミエラはなんか今まであった魔族の中でも一番気さくで、不自然なくらい明るい人だ。

逆に狼男のバンは一言も口をきいていないからよく分からない不気味さがある。

大丈夫か。このメンバーで。


「魔物と遭遇しても基本的には殺す方向で、エルフがどこで監視しているかわからないから」


 近くにいる魔物をバンは大剣で、サミエラは双剣で道端にいたスライムやらのゴブリンを切り殺していた。

自分たちに役立つときは徹底的にこき使い人を攻撃するが、こういう時は身勝手に殺す。

実に魔族らしい。


「あのすみません。閉鎖的で攻撃的なエルフの情報なんてどうやって集めるんですか?」

「ちょーとまってね」


 サミエラは上空を見た。

そこには木々の上にエルフがいた。

そこめがけてコウモリが数匹襲ってきた。


「ポイズンバットと言ってね。毒がある以外はただのコウモリだよ。」


 エルフは風魔法で強風を作り出し、飛行を乱そうとするがポイズンバットたちはそれをかわしている。

すると一匹のポイズンバットがエルフの腕にかみついてきた。


「よし。そろそろかな。耳塞いで」


 そう言ってサミエラはボール状のものをポイズンバットの群れめがけて投げた。

その後凄まじい音が聞こえた。音響弾だったんだろう。

ポイズンバットたちは地面に落ちてきた。


「超音波を使ってこいつらは世界を見ているからね。これでイチコロだよ」


 そう言って持っていた双剣で刺していった。私も持っていた短剣出ポイズンバットたちを倒した。

おそらく、こいつらはサミエラが操って襲わせたんだろう。

吸血鬼はコウモリに変身できるみたいなことをよく聞いたことあるし。


「おーい。そこのエルフちゃん大丈夫かーい。

ポイズンコウモリに嚙まれただろう。

今ちょーど解毒のための調合物が揃っているんだけど、調合に時間がかかるし、こんな真っ暗で魔物だらけだと危険だし、君もまた襲われちゃうかもしれないから、君の集落で調合して治療させてもらえないかなー。」


 白々しい。こんなことを笑顔で大きな声で言うから怖いわ。この人。


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