第2話 プロローグ②
その日の深夜、僕は夢の中を漂っていた。
そこはどこかオドロオドロしい雰囲気のある不思議な空間、空も地も、縦も横も、全てが歪んで映る。
いつもの寝室のはずなのに、何か致命的なものが足りないような感覚のある歪んだ空間。
その中空を漂う僕の目の前には、眠りかける僕がいる。
イビキはかいてないように見える。
その寝顔さえも歪んでしまって、そうと認識するまでに随分とかかってしまった。
見回せば、部屋が不自然に蠢いているのがわかる。
空間の歪みが蠢いているのか、部屋自体が動いているのか、よく分からない。
多分違和感の正体はコレなのだろう、同じところを見ているはずなのに、全く違う場所のようにも感じられる違和感。
そんな部屋の中、唐突に声が響いた。
『深いねぇ〜深い、君の業はとびっきりに深いよ〜? そうだろう? 安住(あずみ) 慶太郎(けいたろう)くん?』
聞き覚えのない甲高い声、女の声にも聞こえるし、声変わり前の男児の声と言われればそんな気もするような、そんな声。
僕の名前を知ってそうな知り合いを頭の中に思い浮かべてみたが、すぐにこんな声の知り合いは居ないなと結論が出た。
そもそもこんな粘っこい喋り方の奴と深く関わろうと僕が思うはずもない。
「あんたわ?」
『ふふ、私はエノワールとゆう者だ。 訳あってどうゆう存在かはまだ教えられないが、強いて言うならば君の業に引き付けられた存在とゆう感じになるかな?』
業がどうのこうのうるさいなこいつ?
厨二病か?
『え、コロスよ?』
あっれ、これもしかしなくても僕の思考読まれてるか、??
「、、冗談だぞ? そんな物騒な言葉使うもんじゃないだろう少年?」
『ふん、私は女だがね。 どびっきりの美女捕まえて少年だとか随分な言い草じゃないか? おい人間のクズが』
口悪いなぁ〜
どっかの掲示板に居ても違和感ないべ。
まぁしかし、女なのだとしたら、なかなかいい声なのかもしれないなと思う。
甲高いとは言っても不快になるような音域じゃなくて、むしろ落ち着く感じがある。
女だと言われてみれば確かに未発達な声帯から出てる感じもしないし、何よりあざとい。
なるほど、ずいぶん僕の趣向を把握してるんだな?
『別にお前に合わせた訳では無いぞ?』
「謙遜するなよマドモアゼル。 ツンデレ属性はロリがやるから一定の需要があるだけで成人してる女がやっても痛いだけ、、いや、割と悪くないかもしれないか? やはりいい声だな」
考えてみるとこのツンケンとした感じ、なかなかどうして声とマッチしている。
なるほど、これはこれで悪くないと思える。
この女はかなりこうゆう文化に見識があるようだな。
『お、おお、この状況でその発言が出てくるってだいぶ飛んでるなお前?』
「飛んでは無いし、僕はお前ではなく慶太郎だ。 愛情を込めてケイくんと呼べよ。分かったかエノち?」
『距離の詰め方バグってるだろおま「ケイくんな?」、、ケイくん』
ふん、なかなかいい気分だ。
この女、どうも押しに弱いな、そんな気がしてきた。
あと普通にこの声好きだわ、癒し効果まである気がする。
付き合ってくれないかな?
『付き合うわけないだろ』
「何を照れることがあったんだエノち?」
『エノちはやめろ』
「じゃあなんて呼べばいいんだ?」
『せめてエノちゃんとかからだろ?普通』
ふっエノちゃんか。
なるほどその距離感ね、了解した。
僕はてっきりエノワール様と呼べとか言われると思っていたが、満更でもないのだろうか?
『じゃあエノワール様でもいいんだぞ?』
「どうしたエノちゃん? そんなに口を尖らせてキス待ちか?」
『え、見えてないよな??』
「見えてないぞ?」
なんか困惑されてしまったが、どうしたんだ?
僕今のは別に普通だったと思うんだが、、
「あ、ところでエノちゃん。 質問いい?」
『なんだ?』
「今どうゆう状況?」
『遅くないか?』
「いいからいいから〜 エノちゃんが可愛いから仕方なかったんだよ〜」
『こ、こいつ、天才的にキモイ、!?』
あれ?ボーナスタイム入ったか?
『入ってない。 それじゃあ説明に入るが、異世界転移って知ってるか?』
「あー、あの最近ラノベでよく見るヤツ? あーゆうの苦手なんだよな〜 主人公が日本人にしてはやたら熱血でリアリティーないってゆうか」
『そう、それだ。 今のお前は、異世界転移されそうになっている日本人。 わかったか?』
「なるほど、ずいぶん簡素な説明だこと。」
『ながなが説明して覚えれるのかFラン中退?』
ふっ、それを言われちゃおしまいですわ。
もちろん聞き流す気マンマンで聞きましたし。
しっかし、異世界転移ねぇ〜?
「まぁ難しいことは言わなくていいんだけど、転移してからする事とかある感じ?」
『無いな。 私がミッションを与えることはあるが別に無視してくれてもいいし。 まぁミッションを達成した場合には相応の報酬は支払うから報酬次第では受けてくれると助かるが』
「体で?」
『そんな訳ないって分からないのかその脳みそわ?』
「分からないな」
どんどん毒舌になるなエノちゃん。
まぁ嫌いじゃないがね、これはこれで悪くない。
この声で罵倒されると新しい扉開けそうだ。
『、、、まぁいい。 もう深く考えるのはやめた。 お前には「ケイくん」、、チッ、ケイくんには2つの選択肢がある。 1つ目は私の願いを叶えて異世界に行く道、2つ目は断って日本人としてこれまで通り生きていく道だ。 好きな方を選んでもらって構わない』
「ふーん? ちなみに異世界には獣人だとかエルフだとか、そうゆうのはいる感じ?」
『もちろん居る』
なるほどなるほど。
これは悩むまでもないな、別に日本に未練もないし。
「オーケーわかった。 異世界に行く」
『そんな安請け合いで本当に大丈夫か?』
「カワボのお願いを聞くのは男の義務ですから、」
『ふん、本当に気持ちの悪い男だなケイくんわ』
なんだ自主的にケイくん呼びにしてきたぞ?
デレたのか?
『デレてない。 それよりも、異世界に行くのなら次の説明を始めるぞ』
「OK!」
キモコメお兄さん、異世界でロリ奴隷を拾いアイドルに仕立てる @hukussnn0810
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