キモコメお兄さん、異世界でロリ奴隷を拾いアイドルに仕立てる
@hukussnn0810
第1話 プロローグ
よる9時、すっかり暗くなった国道をロービームで走る1台の普通車。
車内には推し歌手のコロモちゃんのヒット曲、『ラブリー・デビル』が爆音とゆうほどでもない音量で流れている。
スマホをシートに置き再生リストからしか流すことが出来ないのは、推してると言ってもCD買いに行ったりするのは面倒くさいとゆう怠惰な陰キャの抵抗だった。
国道を左折して家へと続くあまり広くもない2車線の道に入る。
この車は小回りが利きづらいから玉に瑕だな。
大した車じゃない、5年落ちの低燃費車だ、僕はこいつが気に入っていない。
でも買い換える金も無いので今は我慢だろう。
家に着くと車庫の左端に車を止める。
家のドアを1度ガチャリ、閉まっているのを確認してから鍵を差し込んで捻った。
家に上がれば、まだ誰も帰ってきていないのか真っ暗闇が出迎えてきた。
「ただいま〜」
返事がないことを察しつつ控えめに呟いて、玄関の電気をつけた。
靴を脱ぎ、そのまま荷物を下ろして風呂場に向かう。
倉庫作業なので仕事が終われば目に見えない程度には煤がこびりつく。
会社で風呂に入るとゆうのは生理的に無理なので、僕はいつも家に帰ったらいの一番に風呂へと向かうのだ。
全裸になると浴室の鏡にだらしのない体が写った。
高校時代まではマッチョとゆうほどでもないけどそこそこは引き締まっていた僕の体も、社会に出てずっとリフトばかり乗っていればこんな風になってしまうんだな。
でも僕はそんな体も嫌いじゃなかった、僕らしくていいじゃないかと思うことにしてるんだ。
「ぷはぁ〜っ!」
風呂上がりには冷蔵庫でキンキンに冷やしたお茶を飲む。
ほろ酔い一杯でべろべろに酔っ払う僕にして、風呂上がりに酒を飲むなんて自殺行為だ。
キンキンのお茶で十分だと思う。
ソファーに座って、スマホを取り出した。
適当にXの通知を開くと、推し歌手のコロモちゃんが『ちょっと太っちゃった、慰めて🥺』などとゆうコメントとともにヘソ出しのライブ衣装姿がアップされていることに気付いた。
あぁ、今日はYouTubeライブで歌配信をしていたのか。
そんな事を思いながら、僕はコメント欄を開く。
『コロモちゃんのおヘソ、汗でムレムレだね?クンカクンカ』
『今日はお疲れ様でした‼️ 全然太ってないよ⁉️ 気にし過ぎだと思うなぁーー(*^^*)』
『この季節にその衣装は度胸があると思う。 俺は君を賞賛するよ』
『今日も癒しをありがとう! お兄さんはこれからお仕事です! 応援してほちぃでしゅう💦』
『心の底から好きです。 結婚してください。 式は武道館の初コンサートが決まったら、大トリで上げようね』
『まったく、俺の女がモテモテすぎておれ心配、』
『コロモちゃんの歌声は本当に素敵ですね。 私も歌手を目指してるんですがなかなか上達しなくて、本当にこの業界にソロで参入してこんなに成果出せるの、シンプルに尊敬してます!!』
ふっ、どいつもこいつもキモいコメントばかりしてやがる。
センスのないキモコメばかりで呆れ果ててしまうよな。
今どきキモイにしてもセンスがあればある程度許される時代だとゆうのに、、
嘆かわしいことこの上ない。
僕はそんな思惑を巡らせつつコメントを打ち込んだ。
『本日もコロモ氏のうなじは輝いておられますな? こんな冬の寒空でも崩れないプロ意識に敬服でございます。 コロモ氏のうなじにむしゃぶりつきたい一心ではございますが、某これから睡眠を取りますゆえ、また後日とさせていただきましょう』
さて、このセンスの塊みたいなキモコメを見て、どれほどのキモコメ民が反応するのか、見物だな。
僕はくつろいでいたソファーから起き上がると、夜ご飯の支度を始めたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます