2-スライム
第5話 Today is our wedding anniversary
頭の痛い日だった。
妻が朝と昼と同じような物を出してきた。
それはサンドイッチだった。
男はもとは軍隊に所属していたからか、「自分は敬われるべきだ」と考えていた。
しかし、妻はサンドイッチを朝と昼と連続で出してきた。
つまり、それは舐められていると考えた。
男は前述したような考えをしていたから、この妻の行動を「舐められている」と考えると、憤慨した。
男はその時は、「軍人らしさ」を優先し、怒りを抑えた。
しかし、不幸な事があった。
妻とは結婚して2年目だった。
2年目のある日。
また妻は朝と昼をサンドイッチで済ませた。量はあったが、舐められていると感じた。
男は思った。
この女は生きてはいけないものだ、と。
だから殺した。
殺すと、次に問題が起こった。
どう処理すればいいのか分からなくなったのだ。
例えば解体をしたところで、腐れば腐乱臭という物が発生する。
戦争で死体の匂いは嗅いだことがあったから、その匂いの強さは理解していた。
薬品漬けにして密封して、土の下にでも埋めてしまおうか、と考える。
しかし、そもそも薬品など持っていないし、いきなり人を漬け込んでおけるくらいの薬品を購入したら怪しまれるかもしれない。
ならばどうすればいいのか。
わからなかった。
腐らないように、地下の冷凍室に、水桶に入れて封印するようにした。
その頃はどうにでもなった。
翌日になると、飼い犬が騒いで煩かったから殺した。
犬は庭に埋めた。
男は月に一度その死体を見ることにしていた。
死体には半透明のウネウネとした物がいた。
何処かから入ってきた化学薬品の習合物かと思ったが違う。
それは母だ。
我が母だ。
男はその生物が自分の母であると、認識した。
そうさせる魔力があった。
妻は母のために死んだのだからそれが運命だったのだろう、ならばよし。
男は母の食事を眺めながら心地のよさを感じた。
もっと人を殺さなくてはならないと思った。
もっと人を殺すには街に出なければならない。
ああ、出よう。
男は銃を取った。
「いますぐに」
男はその生物に洗脳を受けていた。
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