第2話 ご対面

「いやいや俺も全く持って分からん、本人に聞くしかないねこれは」

「じゃ、須崎聞いてきて、俺ここで待ってるから」

「おいおい、それはズルいだろ、泣いてる人に声かけるのって結構勇気いるんだぜ」

「でもさ、俺から声かけたら不自然じゃん、そんなに仲良くないが故に、大体そもそもこの場所に呼び出したのは須崎の方からじゃん」

「あー、じゃあ分かったよ、俺が行きます」

 須崎は少し不満そうに承諾した。ぶっちゃけこれが普通だと思うが。

「じゃあ行くわ」

 そう言うと曲がり角から身を出し、花坂の方へ歩き出した。

「あれ、花坂どうしたん、何で泣いてんの?」

 須崎はまるで今状況を知ったかのように白々しく花坂に声をかけた。俺の位置からだと少し距離が離れているので、二人が今何を話しているか聞こえない。しかし、花坂と普通に話している須崎をずっと羨ましく思って五、六分は耳を澄ませていた。彼女は何で泣いているんだろう、何か不幸な事でもあったんだろうか。

 しかし考えても泣いている理由が分かる訳も無く、その場で動けずにいた、何かの間違いで俺にも一緒に花坂と話す機会が降って来たりしないだろうか……。

「今桐傘と一緒にいたんだよね、そんなに花坂と仲良くないからって言って会わないようにしてるみたいだけど」

 須崎のあほみたいに大きな声が聞こえてきた。一言一句正確に聞こえた。それを聞いて思わず……。

「流石にそんな言い方ねーだろ須崎さん」

 少し笑いながら言い、曲がり角から二人の方へ歩み寄る。もう少しねぇ、気を使ってくれてもいいじゃないですか……。

「ごめんごめん、あとは話してる中で分かったけど、花坂浮気されてるらしいよ?」

「え、それは、どういう……」

「まあ、詳細は花坂から聞いてくれ」

「もう一回説明すんの? 私」

「まあまあ、桐傘と仲良くなる良い機会と思ってさ……」

「…… 分かったよ」

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