泣いてるS級美少女を、間違えて口説いちゃった結果。

T村

第1話 青春とキモいは紙一重

 というわけで須崎すざきに呼び出された場所に来た。時刻は夜の九時。

「ほら、見ろよあそこ」

「本当だったのかよ、嘘だと思ってたのに」

「こんなくだらない嘘付いてまで、わざわざ呼び出したりしないさ」

「でも、俺呼ばれて来たのはいいけど、今から何する気?」

「まあまあ、そこは成り行きでさ」

 須崎はやけに自信満々だった。これから何をするのか見当もつかないが、その発言には必ず上手くいく、といった自信のある言葉にしか何故だか聞こえなかった。  

曲がり角から、二人の男子高校生が夜にひそひそ話を展開しながら、路地で一人でいるクラスメイトの姿を遠目で見ている。この状況、はたから見た時に良く言えばシュール、悪く言えば怪しげで気持ち悪い状況だ。

「大体俺、花坂はなさかとそんなに仲良くないんだけど」

「でもさ、花坂の事好きなんだろ?」

「え、え、何で知ってんだよ、誰にも言ったこと無いのに」

「おいおい、図星かよ、冗談のつもりで言ったのに、ウケる」

 須崎に自分が好きなクラスメイトの存在がバレた上に軽くいじられて恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。

「須崎はいいよな、花坂と小学校から同級生で仲が良いから」

「まあね、でも本当にそれだけって感じ、昔からアイツ人気あったけど、俺はそういう感情を持ったこと一度も無いな」

「マジ? 校内で超人気の花坂だぜ、人生勿体ないって、損しまくってるて」

「まあでも、桐傘きりがさより仲いいし、彼女の色々な事も知ってるけどね、あとたまに一緒に帰っ……」

「はいはい、すごいね、僕と違って立派でございますね須崎さんは」

 須崎からの嫌味を真に受けて少しムキになる。我ながら情けない。

「ところで須崎、どうして花坂は泣いているんだ?」

 


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