第13話

「……っ……神矢っ……やめて……!」



瑞依はシールドの中でさえ、霊圧が重く立っているのがやっとだった。




「陽乃!一旦神矢から離れろ……!」




「……で、でもっ……」




このままじゃ……神矢は……。





「…………おっと……。

……ちょっと時間をかけ過ぎちゃったみたいだね」



そう言って、響はふっと笑った。



その時、瑞依達の背後にいくつもの気配が広がった。





「澪月……!」



慧汰達の後方に、教官達が現れた。



教官達は霊力を解放し、グリムを囲むようにしてずらりと並んだ。




「お前達、皆無事か?」



貝藤教官が横目で澪月を見た。




「はい……。

すみません、勝手な行動を……」




「その話は後だ」



貝藤教官は真っ直ぐに雨宮響を見つめた。




その時、さらに多くの大きなチカラの気配が辺りを包み込んだ。




「……少し遅れをとったようね」




グリムの背後の頭上に、杜羽を中心としたグレーの軍服姿の者達が並んだ。



ざっと見ても、50人はいる。




「……杜羽マリア……」



柏木が、頭上に浮かぶ杜羽を睨むように見上げた。




「柏木達郎……まさか再び会うことになるとはね」



杜羽は柏木を見下ろし、そして雨宮響を見つめた。




「……あなたが雨宮響……ね。

あの男にはあまり似ていないようね」




「……初めまして、杜羽マリアさん。会えて嬉しいよ。

残念ながら、僕は母似らしいんだ」




「そう……それは幸運なことね」





「……」




……この人……確か、この間……。



タオルを拾ってくれた人だ。



杜羽マリア……SPFの人だったんだ……。



それに、この柏木って人と知り合い……?





「貝藤教官……でしたね。

ここは私達に任せてもらえますか?

その生徒達を、安全な場所へ。

……もちろん神矢くんも」



杜羽の瞳がチラリと神矢を見つめた。




「……そうですね。ここはお任せしましょう。

澪月、全員理事長屋敷へ」




「はい……いや、しかし……神矢は……」




神矢は相変わらず強い霊力を放ち、雨宮響と対立していた。



雨宮響も、神矢のチカラを抑えるために強いチカラを放出している。



2人の間には、容易には介入出来そうもない。

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