第12話

「……獅功様……」



柏木が、読めない表情で響を見つめた。




「ちょっとね……やっぱりすぐに終わっちゃうのもつまらないかなって思って」



響はクスクスと笑った。




「だって……面白そうだから、君達」



響は澪月や慧汰達を見つめた。




「神矢くんや彼女が、君達みたいな仲間とどういう最後を辿るのか……すごく興味あるよ。

だから、もう少しだけこの戦いを楽しませてもらうことにした」




「……しかし……」




「煩いよ柏木。

今僕がそう決めたんだ。

文句ある?」




「……いえ」



柏木はやはり無表情のまま、静かに後ろへ下がった。




「せいぜい……頑張って。

君達の親みたいにならないように」



響は、瑞依と神矢を見つめてニヤリと笑った。




「もうすぐSPFが来る。

僕達は、今日はこれで失礼するよ。

神矢くん、陽乃さん……良い仲間を持ったね」




「……」



瑞依は、響を睨むように見つめた。




「だけど……それは君達の不幸の始まりだよ。

彼らの存在が、さらに君達を不幸にする」




「……どういう、意味?」




「神矢くんはわかってるよね……よく。

"失いたくないもの"は、作っちゃいけないってこと……」






-シュッ…!




神矢の放った霊弾が、響の顔のすぐ横を掠めた。




「……!獅功様……!」




慌てて響に駆け寄る男を、柏木が引き止めた。




「慌てるな……あんなもの獅功様には当たらぬ」




柏木の言う通り、響は余裕の表情で神矢を見つめていた。




「……本当に、神矢くんは乱暴だね。

このまま帰ってあげるって言ってるのに」




「……ならここで朽ちていけ」




「……!神矢やめろっ……!」




澪月の呼び止める声も届かず、神矢は凄まじい霊力を放つ。



誰も近付けない程霊圧が重く、息が出来なくなる程寒さが広がる。





「……くっ……この……!」



グリム一味の隼が、神矢に向かって手をかざした。




「……やめておいた方がいいよ。死にたくなかったら。

君じゃ、彼には勝てない」



そんな仲間に向かって、響は冷静に言った。




「……ふぅん……すごいチカラだね。

やっぱり惜しいなぁ……神矢くんは」

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