第9話
「……神矢……貴様も後で罰則だ。
とにかく、このままじゃ凍りつく。霊力を収めろ」
「……」
神矢は、まるで澪月の声が聞こえていないようだった。
その瞳は、闇に堕ちている。
瞳だけは響を睨んでいるが、頭の中はもはや過去の中の悲劇に襲われていた。
「……君、誰?」
響は冷めた表情で澪月を見つめた。
「……澪月樟威、学園特殊部隊の隊長だ」
「……学園……特殊部隊?
……あぁ……高柳博士が作ったっていうあの」
響は興味なさげに呟いた。
「へぇ……仲間を助けに来たんだ。
だけど、君も馬鹿?
今この状況で神矢くんの霊力を収めるなんて、君達の状況を悪くするだけだよ」
響はニヤリと笑う。
「……それはないな。
神矢は今まともに戦える状態じゃない。
それに悪いが、お前の霊力に恐れは感じない。
馬鹿でかい霊力なら神矢ので慣れている」
「……」
「……お前……雨宮響、だろう?」
澪月の瞳が、鋭くなった。
「……そうだよ。
よくわかったね」
「まさか……グリムの首領がこんな子供とはな……」
「これでもうちは実力主義なんだ。
一番強い者が、支配者になる。
力さえあれば、誰だって這い上がれる」
「それは出来れば聞きたくない言葉だったな。
余計に気味が悪い」
「そうだろうね。
組織内の者ですら、皆僕を恐れる……『何故こんな子供にそれ程チカラがあるのか』ってね」
響は、クスクスと笑った。
「……」
「でもね……僕、これでも16だから」
「十分子供だろう」
「……ふふ。
だけど、君達と差して変わらない」
響の瞳が、澪月を見つめ細くなる。
余裕のある表情。
「……1人2人……あと4人いるね。
みんな若い……」
「……!」
澪月の表情が、ピクリと動く。
「4人……?」
どういうこと……?
他にも誰か……。
「……とっくにバレているようだ」
澪月が静かにそう言うと、背後にいくつもの気配が現れた。
その気配に、瑞依はハッとして振り返った。
「……!……慧汰……妃……真樹……ハヤ先輩……」
そこには、真剣な表情で立つ4人がいた。
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