第3話

「神矢くん、君にここは相応しくない。

君は……僕達と同じ側の人間だから」




「……」




「ここの人達は、君をいいように利用するだけの腐った人間ばかりだ。

わかったでしょ?高柳博士は彼女から記憶を奪い、そして君を閉じ込め……何もかも自分達のいいように事を運ぶ。

ここにいる限り、君は一生苦しみ続ける」



響は優しい、だが妖しい笑みを浮かべ、神矢に近付いていく。




「僕達なら、君を理解出来る。

……そろそろ、籠の中の鳥を終わらそう?」




そう言って、響の伸ばした手が神矢の肩に触れそうになった



その時……




-パンッ…!




神矢の周りを、水色のシールドが包んだ。




「……痛いなぁ……神矢くん」



響は笑みは消えたものの、まだ余裕のある表情で神矢を見つめていた。





「…………触るな……下衆」




ゆっくりと顔を上げた神矢の瞳は冷たく、曇っていて、人間味がない。



冷たいのに、その瞳の奥底には憎しみと怒りが満ち溢れていることがわかった。





「……」




……あの時と、同じだ。



あたしが神矢のことをまだわかってなくて、キレさせてしまった時……。



あの時みたいな……何もかもを殲滅させてしまうような、怖い目……。



でも……もっと…………怒りに満ちている。




瑞依は、背筋がゾクリとした。





「……"ゲス"……ね。

それって僕のこと?

神矢くんは確かに僕のセンパイにあたるかもしれないよ?

だけど……君が僕より高い位置にいるとは思わないね」



響の紫の瞳が、鋭くなる。




「……」



神矢の闇に落ちた瞳が、響を睨んだ。

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