第2話
「……あ、あたし……」
瑞依は、悲しみと困惑の入り交じった表情で神矢を見つめた。
……何が何なのか、まったくわからない。
どうなってるの……?
神矢や……この雨宮響が言う……
"古都"って……誰のこと?
"古都の娘"って……何……?
……なんで……こんなに不安な気持ちになるんだろう。
神矢のこの憎しみのこもった目は……一体何を意味してるんだろう……。
何か……嫌な予感がして仕方がない……。
瑞依は戸惑いを隠せず、2人を交互に見つめる。
この2人が感じとっているものすべてが、瑞依にだけわからない。
それが今の瑞依にとって一番の恐怖だった。
「……神矢……わからないよ……。
……あたし…」
あたしは……一体何なの……?
「……」
神矢は、俯いていた。
どんな表情をしているのかも、瑞依にはわからない。
「……口を挟んで悪いけど……」
沈黙を破ったのは、響だった。
「そろそろ、僕の目的を果たしてもいいかな?」
「……目的……?」
瑞依はまだ混乱した頭で響を見つめた。
「簡単なことなんだ。
神矢くん……単刀直入に言うけど、僕達の仲間にならないかな」
「……!なっ……何言って……。
なんで神矢があんた達の仲間に……」
「それから君も、一緒に来てもらうよ?」
響は、瑞依を見つめてニヤリと笑った。
「……は……?
何……なんで……」
「う~ん……君が記憶を失ってるっていうのは、好都合なのか不都合なのか……。
とにかく一緒に来てもらって、今後を考えることにするよ」
「ちょっと……勝手に決めないでよ。
あたしは……あんた達と一緒になんて行かない」
「……行くよ。
無理にでも、連れて行くから」
にっこりと笑う、響のその幼さの残る少年の顔が言葉とは裏腹で、妙な恐怖感を与えた。
「……」
神矢は何も言わず、まだ俯いたままだった。
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