第一章*戦いの幕開け*
新たな世代
第1話
-ザァー…
雨は、相変わらず降り続いた。
風が強く吹くたび、その場にいるものを雨粒が強く打つ。
未だに目を見開いたまま愕然としている神矢と、その神矢を不安げに見つめている瑞依。
2人を眺め、ニヤニヤと笑う、雨宮響。
薄黒い雨雲が陽を隠し、その場の空気もどんよりと暗く、重い。
「……神矢……」
瑞依が恐る恐る声をかけると、神矢の怒りに満ちた瞳がゆっくりと瑞依を睨んだ。
思わず、瑞依はビクッとして固まった。
「………アンタ……記憶ないのか……」
「……」
神矢の瞳が、瑞依を責めるように見つめる。
瑞依は戸惑いながら、ゆっくり頷いた。
「……あたしは……よく知らないんだけど……。
博士達が昔……あたしの記憶を消したって……」
「……」
神矢の表情からは、絶望にも似たものが感じられた。
信じられないといった顔をしている。
「……嘘だろ……」
「……か、神矢……」
俯いて小さく呟く神矢が心配になり、瑞依はそっと手を伸ばした。
だが、瑞依の手はあっさりと振り払われた。
「…………触るな」
-ピカッ…ゴロゴロ…
雷の青白さに照らされた神矢の表情は、憎しみに満ちていた。
最近は、瑞依が見たことがない表情だった。
「……ふざけるな……」
「……え……」
「……アンタ……記憶消されて、何ヘラヘラ笑ってんだよ……。
何……あいつらを信用してんだよ……」
「……」
「……馬鹿じゃねぇの……?」
さっきまでとは違う、鼻で笑うのは同じでも、憎しみが詰まったような笑いだった。
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