第8話

「ちょ……ちょっと2人とも……」




そう言った瑞依の言葉は見事に無視された。



2人の言い争いにも似た会話は長々と、徐々に激しさを増していく。





……な、何でこんなことに……。



2人は仲が良いのか……悪いのか。




「とにかくっ、私は瑞依が立候補することには反対ですわ!」



妃は勢いよく立ち上がった。




「俺も本音を言えば反対だよ!

けど必ずしも危険とは言えないだろっ」



慧汰もテーブルを叩きつけ立ち上がる。




「……危険に決まってますわ」




「ひ、妃……」




妃はそのまま無言で食堂を出て行った。





「なんっだよあいつ!」



慧汰はドカッと腰をおろす。




「もう……やめなよ女の子相手に」



瑞依は慧汰をなだめるように言った。




「頭が固いんだよあいつは。

俺の言い分聞いてるようでまったく聞いてねぇし」




「はいはい。

とにかく落ち着いて……」





もう……みんなこっち見てたじゃん。




瑞依は恥ずかしさで顔が火照るのがわかった。





「……お前、よっぽど大事に思われてんだな」




「へ?」




「あいつがあんな感情剥き出しにして怒ったの見たことねー。

いつも"嫌悪"なら感じてたけど」



慧汰はふぅとため息をついて頭を掻いた。

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