第6話

「……それで、瑞依はどうなさるのですか?」



妃の瞳が心配そうに瑞依を見つめた。




「あたしは……そりゃ、無理でしょ。

だってあたし特殊能力もまともに使えないし」




「……そうですか」



妃はほっとしたように目を伏せる。




「妃はどうするの?

妃ほどの能力者なら、大歓迎されるんじゃない?」




「私には……無理ですわ。

守るだけではないのでしょう?

誰かと戦わなければならないなんて、私には……」




「あー……そうだね」




確かに、妃はそういうことには向いてないな。



戦うだとか敵だとか、無縁な話って感じ。



……そういうあたしも、無縁と思いたい。



あの普通の高校から転校してきて約2ヶ月。



急展開であたしの周りが変わっていく。





「……でも、あのクラスがねぇ……」




「……ですわねぇ……」




瑞依と妃は大きなため息をついた。






「なんだよ、2人してため息ついて」




「……慧汰」




2人の前に陽気な様子の慧汰が現れた。





「お前ら署名したのか?」




「え……いや……」



口ごもる瑞依。




「なんだ、まだなのか。

まぁまだ5日もあるからな」



そう笑いながら言って、同じテーブルに腰かける。




「……慧汰はしてきたの?」




「あったり前じゃん。

これに立候補しないなんて、ロクグミとして恥だぜ」




「「……」」



瑞依と妃は苦笑いを浮かべ顔を見合わせた。

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