第5話

『また、わしは強制をしようとは思わん。

隊員は、立候補者のみとする。

今から5日後の昼までに、立候補者は各担任の先生に申し出ること。

よく考えてから、申し出るように』



博士の瞳が、その真剣さを物語る。





『その活動内容や目的、詳しい話などはその立候補者達のみに話す。

皆を守りたい、悪と闘いたい、そう少しでも思う者は、立候補を願う』





その言葉を受け、周りの生徒達がざわつき始めた。





『親愛なる我が学園の生徒諸君。

どうか、怯えないでおくれ。恐怖は混乱を招き、奴らの思惑にはまってしまうだけじゃ。

よく、自分達のあるべき姿と場所を、考えるのじゃ。

……では、皆風邪などひかぬようにな」




博士は最後に優しい微笑みを残し、映像は消えた。






―…





「……瑞依?」




「あ……ごめん。

ちょっと考え事してた」




「考えますわよね。

私達には……立候補権があるんですもの」



妃がまた複雑な表情をする。




「それに、ロクグミのあの反応……」




「……うん。

ああやって博士の言うことがおかしいって言うのは、全員じゃない。

なんたって……ロクグミはみんなやる気満々だもんね」



瑞依はため息を落とした。



博士の話の後に沸いた、ロクグミの反応を思い出す。




「ロクグミは皆、自信がある方ばかりですからね。

レベル6はトップクラス。皆さん今まで、ノルンに関しては"挫折"という文字がないのでしょう」




「ほーんと……エリート意識の塊なんだから」

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