第3話

「……獅功様……私に今一度機会を」




「……」




「どうか……」



男は必死に頭を低くした。




「……架梛(カナ)、 あいつを呼べ」



響が隣に立つ女に告げた。




「……良いのですか?」




「早く呼べ」




「……」



女は足早にその部屋から出て行った。




「……君にチャンスをやってもいい。

その言葉が聞けただけ、マシだからね」




「あ……ありがとうございます!獅功様」



痩せこけた男は下げた頭を一層低くした。




「……だけどその前に、罰は受けてもらおうかな」




「……え……」




「二度と失態をさらす気にならないように」



響の瞳が、怪しく笑う。




「その後で、ちゃんとその腕を治してやるよ。

僕達の"新たな仲間"のチカラによって」




「……新たな……仲間……」




「順調に仲間は集い始めてる。君のその腕を治せるチカラも、同じだけの結界をつくれるチカラも、手にいれた」




「……」




「……じゃあ始めよっかぁ。

楽しい罰ゲームを……ね」




痩せこけた体はガタガタと震え、顔は紫色、タラタラと流れる冷や汗。



男は何かをするまでもなく、瀕死寸前だった。




その後男の悲鳴がその部屋に響いたのは、言うまでもない。

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