第2話 呪い
帰る途中にケルトさんは少年の足に触れて何かしたように見えたがその他は何も起きず家に着いた。待っていたように出てきた主人はおかえりと一言言い状況を聞いた。そこにケルトさんはめんどくさそうであり深刻そうな顔で医者に言われた事をそのまま伝えた。
主人「記憶喪失!?怪我だけならすぐ帰せると言うのに何故こうなる…」
主人はとほほと疲れた様子で椅子についた。そして少し考えた後口を開く。
主人「どこまで覚えているかによるかの。其方、まだ聞いておらんかったが名は何と言うのだ?」
少年は急な質問に驚いたが震えながら言う。
少年「僕の名前は…」
その時だった。少年の口元に光が集まり錠のような印が浮かぶ。3人は驚き言葉を発せなかった。少年は何が起きてるか分からず、とりあえず続きを言おうとした。
少年「んんんんん」
少年はやっと気付いたのだ。みんな自分に何か起きたから驚いていることに。
主人「今のは何だ?何故急に!?どこかに主犯が居るはずだ!2人とも探せ!」
目にも止まらぬ速さでケルトさんと虎の人は家周辺を探したがそれらしき人物は居なかった。少年は何回も喋ろうとんーんー言っているが喋れる様子はない。
主人「何故こうなるのだ…呪われていては人間界には絶対帰せん…」
主人はとても疲れた様子でどんよりしている。少年は訳も分からない事が起こっている事とトラウマによりうずくまってしまう。そこに周りを散策していた2人が帰ってくる。
「周りに怪しい人物は居ませんでした。呪いに関しては…呪いの鑑定が出来るやつを知ってるのでそいつに会いに行きます」
虎の人「警戒を怠りました。すいません」
この言葉に対し主人は仕方ないと励ましをかける。どんよりしていてもしょうがないと思ったのか主人は思い切り立ち上がりこう言った
主人「そういえば自己紹介の途中だったな。我は『バク』だ、よろしくのう」
「俺は『ケルト』だ」
虎の人「俺は『トラ』、よろしく」
少年は言葉を喋れないため軽くお辞儀した。そして自分の自己紹介をしようと紙とペンを求めてジェスチャーをしてそれに察したトラさんが用意してくれた。
ケ「名前は覚えてませんだー?こいつ結構飛んじまってんじゃないのか?」
バ「まぁ仕方あるまい。記憶が戻ってきても呪いが解けなければ意味がない。とにかく呪いの解錠方法を聞こう」
そう言い少年にかかった呪いを解くべく呪いの鑑定士なるものに会いに行く事になった。
足のケガや記憶よりも呪いの解錠を優先するため、呪いの鑑定士に会いに行くことになった。
バ「まだ着かんのか?どこに向かってるか分からんし。まず鑑定士の居場所は分かっているのか?旅人だろう?」
ケ「鑑定士を探す為に会う人が居るんですよ。まぁ黙って着いてきて下さいよ」
ケルトさんは少し面倒そうに冷たく言い放った。しばらく歩きどんどん人気が無くなっていくのを感じた。ケルトさんが立ち止まった場所は鉄で出来たドアの前で軽くノックしてこう言った。
ケ「情報屋、居るか?まぁお前の事だから居るか。呪いの鑑定士を探してる。今あいつはどこに居る?」
情報屋「んあー?寝てたのに開口早々にそれとは酷いな〜。あいつの場所なら1分待って」
ドア越しの会話だし声も小さくて少年達は何も聞こえない。バクもケルトさんが何をしてるか分かってない様子だ。まぁ邪魔はしまいとバクも気にしないようにして1分経ちケルトさんが戻ってきた。
ケ「呪いの鑑定士はすぐそこに居るみたいです。移動する前に急ぎましょう」
そう言いケルトさんは歩き出した。トラさんは周りの警戒を怠らないようバクと少年の後ろを歩くようにしていた。危ない地域なのだろうか。しばらくして人気も少し出てくる街の近くの路地裏に着く。その先には待ってましたと言わんばかりにローブ姿の人が立っている。暗いからか顔がよく見えない。
ケ「久しぶりだな、ウィルス」
ウィルス「いやはやまたお会いする事になるとは」
バクが小さな声で変な名前…と言うのに対しトラさんはあれは偽名ですよと小さい声で返している。少年は路地裏の景色に記憶を抉られて少し苦しそうな顔をしている。
ケ「あそこにガキが居るだろ?あいつが喋れない呪いにかかったみたいでな。あの呪いがどんな種類かと解錠方法、めんどいから能力者まで分かるとありがたい」
ウ「分かりましたぞ、では少し見せてもらいます」
ウィルスは少年に近づき手を伸ばす。それに少年は何か思い出したかの様に手を払いのけうずくまってしまう。息が荒くなり小刻みに震えているのが分かる。バクやトラさんはもう慣れたのか動じず収まるのを待っている。ウィルスは少し焦ったがケルトさんがやれと圧をかけ、そのまま実行した。そして数分過ぎた頃。
ウ「うーむ。何と言えば良いのやら…うーむ…」
どうやら何と解答すれば良いのか迷っているらしい。そこに痺れを切らしたケルトさんが少し強めに言う。
ケ「もう結果は出てんだろ?分かった情報だけで良いから早くしろ」
ウ「では、まず呪いですが、喋れない呪い、沈黙の呪いで間違いないでしょう。呪いの種類は条件型、何か条件を満たさないと解錠されません。そして肝心な解錠方法ですが、、、」
みなが息を呑む。
ウ「この子が心を開くことです」
3人が「は?」と意味が分からないような顔をして言った。すかさずケルトさんは言う。
ケ「それ呪いだろ??解錠方法が心を開く??何か間違ってんじゃねーか??」
呪いというのは通常−の意味が込められている。その為解錠方法も−になる事がほとんどなのだ。
ウ「そう思い私も何回もやったのですが結果は変わりませんでした。そしてこの呪いも強力な物でして…そこらの呪いの能力者でも解錠出来ないと思います…」
3人はずっと驚いた顔をしている。誰が何のためにこんな呪いをかけたのか。何故少年に。そしてどうやってあの場所にいる少年に呪いをかけれたのか。謎は多くなる。
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