異世界「ローディア」の光 〜神から授かりし物語〜
現代風ハニワ(現ハニ)
第1話 はじまり
???「はぁ、はぁ、はぁ」
暗い森の中、強い雨音と共に走る音と少年の荒い息の音が聞こえる。
少年(もうどれくらい離れたかな…)
少年「!!!???痛い゛」
ガチャンという音と共にそんな声が響く。見ると動物用のトラバサミに引っかかってしまっている。声を抑えて涙目になりながら必死に解こうとしている時に別の声が響く。
「向こうに居るぞ!!」
少年は急いで罠を解き、血塗れの足でたくさんの光がある方へ向かう。
少年(もう追ってきてないよね…)
街の中でも特に暗く狭い路地裏で少年はそう思った。足からは凄まじい量の血が溢れている。そんな足を見つめて、このまま死ぬのかなと心の奥底で覚悟を決めていたその時、
「人間界は俺が支配する!神が憑いてればお前ら人間なんて敵じゃねー!」
道路の中央にある壊れた車の上で獣の皮を被っている?ような人が言ってるのが遠くからでも見れた。少年は好奇心がとても強い子なので何も感じない足を引きずりそこへ向かった。
丁度人混みに混ざるくらいまで来た所で急に濃い煙が少年やその他多くの人達を囲った。
「何だこの煙?誰かなんかしたのk…アガァ!」
ボコッと殴られたような音と共に獣の人の声が聞こえた。集まってた人達が逃げ惑う中、少年は進んだ。すると、急に毛深い手に腕を掴まれた。
少年「!!!???」
少年が言葉を発する暇もなく真っ赤な眼をした黒毛の犬…?の顔をした人は口を開いた。
犬の人「ご主人様…だよな?いつの間に着替えたんだ?何か泥だらけだし…人間界に影響するやつは殺したんで早く帰りますよ」
そう言い犬の人は手を空気にかざして不思議な円を開き少年の手を引き中に入った。少年は驚きと困惑によって声が出なかった。
少年は困惑しながらも前を向くと、出口らしき光が見えた。人違いかも、この人は誰?僕はどうなるんだ?などと色々な思いが飛び交う最中、光に包まれた。
犬の人「よっと」
少年の手を引いた黒毛の犬の人は華麗な着地を見せた。一方少年は、着地が出来ずにガタッと言う音がして頭を強くぶつけて気絶してしまった。着地のために下を向いていた犬の人が正面を向くと、驚きの光景があった。
???「ケルト?…誰であるか?その者は…人間界のものではなかろうな?」
犬の人「え?ご主人様が何でここに??じゃあこいつは…」
虎の人「お前、人間界から人間を連れてくるとはどういうことだ!」
驚きで固まる者、困惑で現実を受け入れられない者、衝撃で怒っている者、その場は修羅場だった。犬の人は『ケルト』と言うらしい。そんなこんなで少し経った後、場を落ち着かせる声が響く。
少年「ここ、どこですか?」
その場で騒いでいた3人が一斉に静まり、こっちを向いた。最初に口を開いたのはケルトさんだった。
ケルト「こいつ、殺しちゃった方が良いですかね?」
少し困り顔で凄いことを言っている。そこに怒り顔の主人が物申す。
主「バカ!人間界に影響の及ぶことはやってはいけぬと何度も!…ん?」
少年のことをちらっと見た主人は口を止めて少年のことを見つめる。少年は自分の足に気付き、思い出したかのように痛みに悶えだした。
主(確かに顔は似ているな……服や顔が泥だらけではないか。足には…どうやったらこんな傷が付くんだ?穴が開いてるように見えるが…)ブツブツ
虎の人「主?どうしました?」
主「ん?いや、何でもない。それにしてもどうしたものか…とりあえずケルト。急いで病院に連れていけ。見たところ出血がすごそうだ」
ケルト「げっなんで俺が…てか傷なら俺の能りょk」
何かを言いかけたところで主がケルトさんの口を両手で塞ぐ。そして耳元で囁いている。
主「この者には出来るだけこの世界の情報を掴ませず帰す。だから能力は使ってはいけぬ。後お主のせいでこうなったんだから文句言うな」コソコソ
多分こんなことを言っていたんだろう。それに対してケルトさんは嫌そうな顔をし頷いた。
足の傷を癒す為にケルトさんと病院に行く事になった少年。痛みと恐怖に震えながらも抱っこされた状態で病院に向かった。まさか移動方法が屋根を飛び越えるとは思いもしなかった。特に話しかけられる事も話しかける事もなく、そのまま病院に着いた。
医者「とりあえず薬は出しておきましたから、毎日忘れずに塗って下さいね」
医者は包帯の巻かれた少年の足を見ながらもう一度言う。
医者「事故にしてはこんな穴みたいな傷付きますかね?どんな事故なんですか?」
医者は明らかに疑っている表情でケルトさんに言う。それに対しケルトさんは落ち着いた表情で返す
「事故は事故だ。お前に話す必要はない。治療したなら帰るぞ」
医者「念の為足以外の部位も調べるのでまだ待っていて下さい」
医者は呆れたような表情で少年の身体に手をかざす。すると、驚いた表情でこう言う。
医者「この子、記憶が…」
「ん?何かあったのか?」
医者の反応にケルトさんが少し焦りながら反応する。そして医者がもう一度はっきりと言う
医者「記憶喪失を患っています。何の記憶かまでは分かりませんが」
「は?」
少年「?」
そう、少年は頭をぶつけた影響で記憶を失ってしまったのだ。ケルトさんは焦りながら少年の肩を掴む。
「お前、どこまで覚えてる?」
少年「………」
少年は少し考え、震え出した。何か恐怖が迫っているような顔をして。その顔を見て、ケルトさんは察したようにまぁ今は良いと言ってくれた。
「記憶喪失は治せるのか?」
医者「いえ…本人が思い出せるかどうか…我々ではどうする事も出来ません…」
ケルトさんは少し考えこう言った
「とりあえず他に問題はないな?帰るぞ」
医者は出来る事が無い様子でとりあえず帰すことを決めた。少年にあざや殴り後などがないことから虐待の可能性を切ったのだろう。このまま何もないまま抱っこされて家に着いた。
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