第3話 孫になっていた。
俺は死んだのでは無かったのか?
ふと周りを見渡した、ここは、病院か!
そうか、俺は命を取り留めたのか......
だが、何かがおかしい。
そうだ、胸、心臓を撃たれたんだ俺は!
可笑しいぞ、胸には包帯が巻かれていない......それに何だこの体!
なんだかヒョロヒョロしている、俺の体はこんなだったか?
もしかして随分永い間入院していたのかも知れないな。
しかし、不思議だ胸を撃たれた筈なのに怪我しているのは足と頭。
考えても仕方ない。
今は夜中みたいだからもう一度眠るか。
目が覚めた......
うん可笑しいな、誰かが俺の顔を覗き込んでいる。
「竜星ちゃんが目を覚ました。良かった...本当に生きていて良かった。もう死んだりしないでお母さん竜星ちゃんが死んだら生きていけないわ!」
翔子に似ているけど、どう見てもかなり年上だ。
お母さん? なんだこれ、だけど翔子になんとなく似ている。
「翔子?」
「死んだお婆ちゃんの名前なんかいきなり呼んでどうしたの? そうか! お婆ちゃんが竜星を返してくれたのね!」
自分に何が起きたのか解らない。
だが、どうやら俺は別人になってしまった様だ。
話を聞いて解った事だが、どうやら俺は俺の孫にあたる人間の体に入ってしまった様だ。
母親の名前は百合子と言い、母子家庭で俺を片親で育てている。
そして、その母親が翔子だった。
翔子は中学生で身籠り、百合子を産んだ。
逆に百合子は晩婚だったらしい。
翔子は硬派で通していたから俺以外に男は居なかった。
俺の名前の竜星は翔子=今の俺のお婆ちゃんの男、竜生からつけたと言う事だから確実だ。
どうして此奴に入ってしまったかはどうでも良い。
ただ、俺の血を引いた奴が『虐めを苦にして自殺をしようとした』それが気にくわない。
確かに見てみればこの体は傷が多くある。
多分だが、この竜星という俺の孫は死んだんだと思う。
そして、その体にどういう訳か俺が入り込んだ......そういう事だな。
俺の母親の百合子は俺の虐めについて学校に何度も相談したそうだ。
警察にも足を運んだらしい。
ボイスレコーダーに診断書、写真まであるのに学校側や虐めの関係者の親は
『子供同士の遊び』『大した事無い』でかたずけ......体育教師は『やり返さないお前が悪い』そう言ったそうだ。
「ごめんね! お母さん竜星が此処まで思い詰めていたなんて知らなかったの! 転校しよう?」
「大丈夫だよお母さん...僕は強く生きるから、もう自殺なんかしないよ?」
猫を3匹位被ってそう返事した。
しかし、翔子と俺の間に生まれた子がこんなに普通の子だなんて信じられないな。
まぁそれを言っても仕方がない。
会った事は無いといえ、俺の孫を殺したんだ......そして俺の娘を泣かせた。
地獄を見せてやんよ!
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