第2話 竜生の死
翔子の家でやる事やって一服していた。
女を手に入れるのは簡単だ、強いかバイクで速く走れるか、度胸があれば割と簡単に手に入る。
須田峰峠を誰よりも早くバイクで走れれば、ギャラリーの女が抱き放題。
何処かの映画を真似をしている暴走族が主催のキャノンボールで3位内に入れば金と女が貰える。
最も面は綺麗だが、歯が溶けていてシンナー臭いのが欠点だ。
他にも、弱い学校の喧嘩の助っ人をすれば、その学校の女が普通に貰える。
まぁ俺は複数欲しいわけじゃないから翔子1人で充分だ。
親から勘当されて一人暮らししているから泊れるのも都合が良い。
「今日も泊っていく?」
「そうだな、泊っていくか!」
そう言いながら2本目のたばこに手を伸ばした。
するとすかさず翔子がたばこに火をつける。
なかなか出来た奴だ。
暫くして2戦目をしようとしていたら、扉を叩く音がした。
此処には俺が入り浸っているのを知っているから殆ど人は来ない。
金属バット片手にドアを開けた。
「どうしたんだ!誰にやられた!」
明かにタコ殴りされた博が転がり込んできた。
「竜生くん、浩二が攫われちまった、竜生くんの名前を出したら連れて来いってさぁ」
「翔子、悪ぃなぁ......これからちょっと行ってくる!」
「仕方ないな.....竜生は、ほら行ってきなよ!」
折角のお楽しみタイムなのに......まぁ不良をしていたら仕方ない。
金属バットを片手に右手にカイザーナックルを嵌めた。
「所で、浩二は何処に連れて行かれたんだ!」
「ごめん竜生くん...相手は関東誠六会...なんだ」
一瞬耳を疑った。
「ヤクザじゃないか?...どうしてそうなったんだよ!」
「実は......」
はぁ、完全に俺のせいだ、俺が昨日根性出せば女なんか簡単に手に入る。
そういう話をしたから、涼子という女に手を出したそうだ。
まぁ、その結果、涼子の親父が出てきて、そのまま拉致られた。
そういう話しだ。
この話は......浩二が全部悪い。
まず、涼子は一見スケ番風だが、ただの素人だ。
聖子ちゃんカットが好きだからそういう髪型にしているだけ、学校では粋がっているが、決して喧嘩している訳じゃない。
そんな奴に喧嘩を仕掛けたから、親に言いつけた。
当たり前だ、俺の女の「二枚刃の翔子」とかとは違う。
女で不良をするには最悪、「輪姦くらいされても仕方が無い」その位は覚悟してやる。
だが涼子は不良でないから親に言いつけた。
ただ、問題なのは涼子は不良で無いけど......親は極道で小さな組の組長をしている。
この親が涼子を溺愛しているから拉致られた......そう言う事だ。
あれはヤクザの娘であっても「不良」ではないから俺は眼中に無かった。
「やべーな......人数は少ないとはいえ極道だぞ......しゃーないな」
そのまま行ってもただやられるだけだから、車を盗んだ。
「博は邪魔だから、俺一人で行くわ...」
「悪い竜生くん」
俺は博を帰し、1人で近くにあるトラックを盗むんだ。
◆◆◆
もうやるしかない!
覚悟を決めて、盗んだトラックのアクセルを踏み込み、事務所に突っ込んだ。
「てめー何考えているんだよ! 死ぬ程借金背負わすぞこら!」
「極道相手に此処までして只で済むと思うなーーーっ」
人を一人跳ねたがまだ傍に二人いる。
仕方ねーから......金属バッドで頭を殴りつけた。
あと一人いたが......走って中に逃げた。
「てめーっ中坊相手に極道が逃げ出すのかーーっこら!」
そのまま、中に入り追いかけた。
「何だてめー、ガキが殺すぞ!」
流石のヤクザでもガキは殺さないだろう......
そうたかをくくって暴れまくった。
奥に行きドアを開けると、浩二が居た。
「よう浩二? 随分男前になったな!」
ボコられて顔が腫れた浩二が転がっていた。
「子供の喧嘩に大人がでちゃ駄目でしょう!」
そう言いながら、カイザーナックルを嵌めた右腕で近くの奴を殴ろうとしたら...
パンッ
何だこれ......胸から血が出ているじゃんか...
「ハァハァ.......何だよこれ...」
「ヤクザがガキに舐められる訳にはいかねーんだよ! 此処までされちゃ殺すしかねぇ―んだよ! ガキが」
最後に俺が見たのは......ちかちかする蛍光灯の光だった。
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