第6話
―…
-ピピピピピ……
「……ん~……。
……あれ……朝~……?」
瑞依は布団に埋まった体を起こし、辺りを見回した。
-ピピピピピ……
「んー……うるさい」
-バンッ
瑞依は目覚まし時計をまるでありがたくも思わず、力強く止めた。
いつもならそのまま布団に吸い込まれるように逆戻りするところだが、今日は何故かそんな気分にはならなかった。
夢の中の出来事に、少し胸がドキドキと鳴っている気がする。
「夢……かぁ。
なんか……変な感じの夢」
こんなにはっきりと夢を覚えてるなんて……珍しい。
よくわかんなかったけど、綺麗な声の人だったな。
なんか金色に光ってたし……そう……神様ってカンジ?
……。
「はぁ……ばっかみたい。
これじゃ、昔に神のお告げを聞いたとか言う研究者みたいだ。
あたし疲れてんだな……」
瑞依は独り言を呟きながら、頭を軽く押さえる。
瑞依はふと、社会科の授業で聞いた話を思い出した。
存命であるにも関わらず、日本史、世界史の教科書にさえ載ってる、有名な人物のことを。
確か……あたしが産まれるずっと前の話。
世の中の人はみんなその研究者が、認知症か精神病か、薬でもやってたと思っていた。
そのくらい、彼の言うことはありえなくて、衝撃的で、馬鹿げていたってこと。
だけど数年後、何人もの人が彼の言った通りになってその人は認められた。
正しかったと。
あまりにも衝撃的な出来事に多くの人は信じられず、また多くの人は恐怖を感じ、少数の人は希望を抱いた……か。
あたしから言わせれば生まれた時からそんな世の中にいたんだし、その衝撃がよくわかんないんだけど。
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