第7話

「おはよ~」




「あら、早いのね」




ダイニングのドアから顔を出した瑞依を見て、瑞依の母親が振り返った。




「なんか目ぇ覚めちゃったから」



瑞依はダイニングの椅子に腰を下ろし、小さなため息をついた。




「……お父さんは?

まだ起きてないの?」




「今何時か知ってる?

あんたいつもより1時間は早いわよ。

もう食べる?」




「うん。

……ねぇお母さん」




「なぁに?」



瑞依の母親はくるんと明るく振り返った。



相変わらず年の割に元気だなと、瑞依は閉じかけた目で見ながら思った。




「あの研究者の人のこと、知ってる?」




「研究者?誰の話?」




「あの~ほら、有名な高柳(タカヤナギ)……とかゆう博士のこと」




「あぁ……高柳博士ね。

博士がどうかしたの?」




「んー……有名な人だけど、どういう人だったのか詳しく知らなくて」




瑞依は今日の夢のことを思い出していた。



何かお告げらしき言葉を自分に言った、あの金色に光る人。



以前無名の研究者であった人物が残した記録にあった"神のお告げ"の内容に、よく似ている気がした。



そしてお告げを受けた研究者は、今は超有名人として名を馳せる博士となり今も活躍している。





「……懐かしいわね」



どこか遠くを見つめ、母親は朝食を作る手を止めた。



そして、ゆっくり語り始めた。

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