第5話

―…









『……瑞依……』





誰かの呼ぶ声が、聞こえる。





『瑞依』






……何……誰?





声の主を探そうと、瑞依は目を開けた。




瑞依の瞳がとらえたのは、真っ白に染められた霧の世界。



金色の光を放つその中心から、美しい不思議な声は聞こえてくる。






『……もう、時間はありません。



あなたの中に眠っている力を、呼び覚ましてください』






……は?



あたしの……眠っている力……?





『奥深くに閉じこめられたまま、眠っているのです。



あなたが自分自身で目覚めるのを、ずっと待っています』






……誰なの?



何言ってるのかわかんないよ……。





そう言いたいが、声が出ない。



だが、まるで思ったことがそのまま伝わっているように瑞依は感じた。





『……あなたは……運命から逃れられないのです』





……運命?



……何の……こと?





『……もし、あなたが目覚めたいと思う時が来たなら祈りなさい。



迷わずに。




あなたが本当に力を必要とする時



その力は目覚めます……』

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