第7話 百物語の四話目


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百物語の第四話


次の日の放課後、文芸部室にはいつもより緊張した空気が漂っていた。三話目の怪談の後から、妙な出来事が増えていたからだ。窓に映る人影、夜中に聞こえる不気味な音、そして、ふとした瞬間に感じる視線――それらは百物語を進めるたびに確実に「近づいている」ように思えた。


亮介はロウソクの灯りをじっと見つめながら、律に問いかけた。

「本当に、今日もやるのか? 昨日、あれだけ妙なことが起きたのに?」


律は無表情のまま頷いた。

「百物語は中途半端に終わらせてはいけない。それに……確かめたいんだ。この学校に潜む『本当の怪異』を。」


「確かめるって……怖すぎるでしょ。」

麻奈がため息交じりに呟くと、圭介が軽く肩をすくめた。

「まあ、どうせやるんだろ? 俺も気になってきたしさ。」


そして、四話目の語り手に指名されたのは亮介だった。



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四話目:「近づく足音」


亮介は緊張で喉が渇くのを感じながらも、話を始めた。



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「俺の中学のときの話なんだけどさ……」


ある日の夜、亮介は友人たちと遅くまで部活をしていた。その帰り道、学校の裏手にある暗い路地を通ることになった。そこは人気がなく、街灯も少ない不気味な場所だった。


「早く帰ろうぜ。」

誰かがそう言った矢先、後ろの方から「コツ、コツ……」という足音が聞こえてきた。


亮介たちは振り返ったが、そこには誰もいない。だが、足音は確かに近づいてくる。


「走れ!」

一人が叫び、全員で駆け出した。足音もそれに合わせて速くなる。


やっとの思いで明るい通りに出たとき、足音はぴたりと止んだ。だが、その時、亮介は気づいた。足元に落ちていたのは、自分たちが逃げる途中で蹴り飛ばした何か――それは、小さな黒い靴だった。


次の日、その路地で自分たちと同じ中学校の生徒が一人、倒れているのが見つかった。彼は何かから逃げるような体勢で、凍りついた表情をしていたという……。



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部室の異変


亮介の話が終わり、ロウソクの火を吹き消した瞬間だった。どこからともなく、「コツ……コツ……」という音が響いた。


「おい、やめろよ、今の誰かの悪戯だろ?」

圭介が不安げに笑いながら言うが、誰も笑わない。部室のドアの外から、確かに足音が近づいてくるのがわかる。


「……開けてみるか。」

律が静かに立ち上がり、ドアノブに手をかけた。


「待って!」

麻奈が叫ぶのも聞かずに、律はドアを開けた――だが、そこには誰もいない。ただ廊下の奥に、黒い影のようなものが一瞬見えただけだった。


「見間違い……じゃないよな?」

亮介が震える声で言うと、律は低い声で言った。

「何かが、間違いなく来ている。」



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旧校舎の七不思議


その日の帰り道、亮介は律と二人で話していた。

「お前、やっぱり百物語を最後までやるつもりか?」


「もちろんだ。」

律は少しも迷いのない声で答える。

「この百物語を始める前に、俺は旧校舎の『七不思議』についていろいろ調べていたんだ。どうやら、そのどれもが百物語の中に関係しているようなんだよ。」


「関係しているって……?」

亮介は眉をひそめた。


「七不思議の一つ、『足音の主』。夜中に旧校舎の廊下を歩く音だけが聞こえて、姿を見た者は行方不明になる……そういう噂だ。」


「まさか、今日の足音……?」

亮介が呟くと、律は静かに頷いた。


「俺たちが百物語を進めるたびに、その『七不思議』が実体化しているのかもしれない。」


「じゃあ、止めた方がいいんじゃないか?」

亮介が訴えるが、律の目には狂気にも似た輝きが宿っていた。

「いや、逆だ。七不思議のすべてを解明すれば、これがただの噂なのか、それとも本当に何かが存在するのかがわかる。」



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次回予告:旧校舎への挑戦


百物語を進める中で、七不思議が次々と現実になっていく。次の話は、ついに旧校舎の七不思議そのものを確かめる展開へ――果たして、彼らは何を目にするのか?


続けて進展を描きながら、さらなる恐怖を探っていきましょう!


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