第5話 百物語の二話目


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百物語の第二話


翌日、学校はいつも通りの平凡な時間が流れていた。亮介は、昨日の音楽室のピアノの音が頭から離れず、教室の窓際でぼんやりと外を眺めていた。隣に座る圭介が、亮介の背中を軽く叩く。


「おい、考えすぎだって。あれは多分風とか、誰かがふざけてたんだろ?」

圭介の軽い調子に、亮介は曖昧に頷く。しかし、心の中には得体の知れない不安が渦巻いていた。


昼休み、亮介は音楽室の前に足を運んだ。

誰もいない廊下で、一瞬だけ耳に響いたような気がしたピアノの音。その音色が、まるで自分を呼んでいるかのようだった。


「何してるの?」

振り向くと、そこには麻奈が立っていた。彼女もまた、気になっていたらしい。


「昨日の音、聞いたよね?」

「うん……あれ、本当に誰が弾いたんだろう。」

麻奈の声は小さく震えていた。二人はしばらく廊下に立ち尽くし、再び何も起こらないことを確認してから、そそくさと教室に戻った。



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七不思議の噂


その日の文芸部の集まりで、律は新たな話を持ち出した。

「この学校には、七不思議があるって知ってるか?」

部員たちは顔を見合わせた。


「まぁ、だいたいの学校にはあるよな。消えるピアノとか、トイレの幽霊とか。」

圭介が飄々と答えると、律は薄く笑った。


「そう。七不思議の一つに、消えるピアノが含まれている。でも、他の話も興味深い。」

そう言って律が語り始めたのは、**「屋上の白い人影」**の話だった。


「この学校の屋上には、白い服を着た人影が現れることがある。見た人は必ず、その日のうちに学校で怪我をするか、何かを失くすんだって。」


話を聞いた麻奈が顔をしかめた。

「それ、本当にあったの?」

「記録はない。ただ、最近屋上に立ち入った生徒が、何人か失踪してるらしい。」


亮介の心臓が小さく跳ねた。何かが確実に「始まっている」気がしてならなかった。



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律の真意


帰り道、亮介は律に声をかけた。

「なんで、こんなことを始めようと思ったんだ?」

律は少し歩みを止め、考えるように空を見上げた。


「亮介、昔から『この学校は何かがおかしい』って思ったことはないか?」

「……どういうこと?」

「例えば、空気とか、雰囲気とか。目に見えないものが、この場所には確かに存在してるんだ。俺は、それを確かめたい。」


亮介は返事を返せなかった。律の目は真剣そのもので、彼の言葉に嘘はないと感じられたからだ。


「百物語は手段でしかない。この学校の真実に触れるためのな。」

律は静かに言葉を締めくくった。



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百物語の第二夜


その日の夜も文芸部に集まった彼らは、ロウソクを灯し、二話目を語ることになった。


「今日は俺が話してやるよ。」

圭介が自信満々に語り始めたのは、**「鏡の中の影」**の話だった。


「夜中にトイレの鏡を見ると、自分じゃない『誰か』が映るって話だ。特に、この学校の古いトイレがやばいってさ。」


圭介が話を終え、ロウソクを吹き消すと、部屋の外で何かが動く音がした。


「……今、何か聞こえなかった?」

麻奈が怯えた声で言う。


亮介は意を決してドアを開けるが、そこには誰もいなかった。ただ、廊下の突き当たりにある鏡が微かに揺れているように見えた。


「……気のせいだろ。」

圭介が強がるように言うが、全員の顔には緊張が浮かんでいた。


律だけは微笑みを浮かべながら、静かに呟いた。

「これで、二話目だ。」



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次回予告:さらに深まる怪異


七不思議を紐解く中で現れる謎の影。百物語を語るたびに部員たちを取り巻く不可解な出来事が加速していく。そして、律が密かに抱える「この学校の秘密」とは……?


続きを展開しつつ、さらに七不思議や部員たちの背景を掘り下げていきましょうか。


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