第3話 まさかの彼女は、班を率いるリーダー?
俺は路地裏に導かれるまま、
近くにこんな道があるなんて知らなかった。
階段の周りには、球体だったり
ただ、中は覗いても”何も”見えない。
文字が読めない看板が立てかけられているだけ。
いつの間にか歩いていた階段は、
「なんか、幻想的な場所だなー……どうやって、建てたんだよ?」
「それはですねー。建物を最初に建てたあとに、
「へぇ……しかも、なんか空が遠くに見える気がするんだが」
どれだけ下りても、空は普通に見えていたはずなのに、ポッカリと口を開いた洞窟のように空が見えなくなる。
次第に薄暗くなっていくと、急に
そこは、上とはまた違うガラス細工のような異なる形に、幻想的で
明るい
しかも、外のように感じていた明るさは天井に描かれた太陽と月の幻想的な絵。
「って、ここ……日本か? それに、こんな大きい施設……だよな?」
「フッフッフ。ここは、日本が誇るハンター……。あやかし国際協会の一つです! 実は、知らずに先輩は
「いやいや、場所が秘密でわからないってだけだろう」
軽くウインクして舌を出す
つまり、俺がこんな近くにって思ったのも、気が付かないうちに秘密の入口から入ってきていただけ。
「私の直感から
「両親をどうにかしてくれて、俺を守ってくれるだけじゃ嫌だから。
「大丈夫です! 今のバイト掛け持ち以上にお給料も良いですし。最も重要なのは! 今ならもれなく美少女の後輩がついてきまーす」
俺は、わざとらしく少しだけ考えるような素振りをしてみせる。
「いや、仕事なら年下でも
今度は反対に頭に両手を置いて考える彼女は、すかさずバツを作る。
俺のツッコミに対して、先輩という表現は可愛くないから却下らしい……。
「
「ぐっ……急に毒を吐くな。心臓が悲鳴を上げてるぞ」
「すみませーん。先輩が可愛くないことを言うので、意地悪しちゃいました!」
彼女も事情で休学中らしく、
この区域は人数が少ないらしく、俺含めてメンバーは五人らしい。
まだ、組織に加わっていない新人を含めていいのだろうか……。
施設に向かって歩きながら話は進む。
「みんなに紹介する前に、簡単に説明しますねー」
「あ、ああ……緊張するな」
「まず一人目は、
ええ……。
急展開で、いらない情報を与えられた。
大学四年生っていうと、先輩だし……。
でも、チャラ男っていうことはイケメンなのだろうか。
「ニ人目は、先輩に少し雰囲気が似た
「へぇ……同い年の女子か。大学生活を満喫出来なかった俺としては、少しドキドキするな」
「私という美少女がいながら、浮気ですかー? それから、自由自在に肉体改造が出来る
四人しかいないのに、把握してないって……。
大丈夫か?
いや、言葉で語れないとかだったら、チャラ男より怖いぞ。
自己紹介を聞いているうちに、大きな門がある場所にたどりつく。
セキュリティがかかっているようで、
――カコン
なんともいえない音がして扉が開く。
「えぇ……。町? と違って、暗闇なんだけど……」
「怖いですかー? 初めて、手をつなぐ女の子が美少女ですけど、しちゃいますぅ?」
「うっ……なんか、悔しすぎる。だけど、昨日のことで恐怖が拭えない……。お願いします!」
俺は、サッと手を出して頭を下げた。
すると上から
そのまま引っ張られるように
思わず声を上げそうになって反対の手で押さえ、少し進んだところで再び淡い
明かりが見える場所で手を離されて案内されるまま、階段を上っていくと閉まった扉の奥から賑やかな声が聞こえてきた。
「ここでーす。みんな集まってるみたいなので、ビシッと自己紹介しちゃいましょう!」
「えぇ……。俺、まだ能力者かもわからないんだけど」
「大丈夫です! 一般人は、この施設に入った瞬間記憶を消されちゃうんです。でも、先輩はそれをクリアしました。
まさかの危ないことをされていたことに身体を震わせる。
漫画やゲームの世界みたいなことをサラッと言わないでほしい……。
記憶を消すとかって、脳をいじるんだろう? 俺の脳みそ大丈夫だよな。
俺の不安をよそに扉を開いた中には、話に聞いた三人が椅子に座って仲良く会話を弾ませている。
といっても中心にいるのは、きっとチャラ男だ。
「おっ。例の新人君? 思ってたより、イケメンじゃん。まぁ、俺には負けるけど……可愛い子は大歓迎だなぁ」
「えっ……可愛い子って。俺、野郎ですけど……それに輝かしさが違います」
「なんか、褒められて感じないのが凄いねキミ。班長から聞いてるだろうけど、俺は差別しない主義だから……みんな可愛い子だよ」
会話が成立しているようでしていない、これが陽キャのチャラ男!
俺は凡人の大学生だから分からない世界が広がっている。
立ち尽くす俺に、両手を叩く
このチャラ男。今、班長って言わなかったか?
――班長?
「みんな、これから先輩が自己紹介するから、ちゃんと聞いてあげてねー。そのあと、軽く自己紹介してあげて!」
「えっ……と、
「
俺は、冷静になって10センチほど身長差のあるチャラ男こと、
俺よりも明るい
「
「うーん、なら
「コホン。
でも、眼鏡を取ったら知的な美人さんな気がする。
「ど、どうも……」
「ハイハーイ。最後に俺ね?
「あっ、はい。宜しくお願いします」
最後に自己紹介をしてくれた
自己紹介が終わって早速とばかりに席に座らされた俺は、備え付けのミニ冷蔵庫にダンボール箱から出されたお菓子などで歓迎会が始まった。
「それでは、
「おー」
「うぇい」
「ハイ」
掲げられる紙コップで始まりの挨拶を述べる
俺は何もわからない状態で勝手に始まった歓迎会を、出会ってニ日目の彼女と、その仲間たちとともに半日過ごすことになった。
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