2023年:幕間のひと時 第八章

「和人君、起きてください。まったく……今日はいつになく寝坊助ですね」

 遠くで声が聞こえる。だが、こだましているようで良く聞こえない。まるで、重い貧血にでもなっているみたいだ。

「……縁か?」

 薄目を開けて、周囲を見る。

 最近見慣れた天井。宿泊しているホテルの一室だ。

「そうですが……大丈夫ですか? よく見たら、めっちゃ顔色悪いじゃないですか」

 その言葉で、ようやく思い出す。そうか……事象改変の副作用か……

 少しだけ、頭を巡らせる。どうやら、本当に記憶は無くなっていないみたいだ。

「紫は?」

 分かってはいるが、思わずそう尋ねる。

「紫ですか? 今シャワーを浴びてますよ。覗いたら殺すそうです」

「そうか……それは怖いな」

 弱々しく笑う。本当は泣きそうだったけれど、なんとかそれっぽい表情になった。

「それより……どうします? 何か薬でも買ってきますか?」

 本気で心配そうな縁の声で、また泣きそうになる。

 だから俺は、間違っても潤む瞳を見られないように寝返りを打つと、声の震えに注意しながら、答えた。

「ちょっとした貧血だと思うから大丈夫。すぐに良くなるよ。今日は、ドレスの試着にも行かなくちゃいけないんだからね」

「えぇ……そうですが……」

 尚、心配そうな縁の雰囲気が伝わってくる。だが、やがて――

「分かりました。では、しばらく休んでいてください。みんなには、私から伝えておきますから」

「うん。ありがとう」

 縁の温もりが背中を撫でる。俺はその温もりに意識を集中させて……気づいたら、また眠りについていた。


 結局俺が動けるようになったのは、正午を少し回った頃だった。たっぷり半日は寝込んでしまったことになる。

 ただそれでも、1日半は動ける時間ができたのは幸いだった。その間に、なんとか突破口を見つけなければいけない。

 俺は、縁と紫と共にホテルのロビーに出る。すると、向こうから声を掛けられた。

「和人君、体調は大丈夫ですか?」

 イレーネだった。動きやすそうな服に身を包んだイレーネがこちらに駆け寄ってくる。そして――

「フランスの水に当てられたのかもしれませんね。気を付けなければ駄目ですよ? 和人さん」

「ソフィア……さん……」

 ここ二週間で見慣れていた柔和な顔を浮かべたソフィアさんがそこにいた。その姿を見ていると、改変前の出来事が夢だったみたいだ。

 だが……そんなことあるはずが無い。

「半日寝込んで、残りはあと一日と半分です。後悔を繰り返してはいけませんよ?」

 俺だけに分かる警告。何も知らない縁が呑気に反論する。

「大丈夫ですよ。もう計画はほとんど出来上がってるんですから。それに、時間に間に合わなくて後悔するような殊勝なキャラじゃないんです、和人君は。夏休み明けの開き直りを見れば、自ずと分かります」

「あら、そうですか。それなら、もちろん良いのですけれど」

 ソフィアさんが静かに微笑む。だが、今なら分かる。彼女は本心ではまったく笑っていない。縁にバレないほど巧妙に、彼女は本心を覆い隠している。

 俺は深呼吸を一つして、ここにいるみんなに呼びかけた。

「あの……考えた計画、もう一度検討し直しませんか?」


 改変前の記憶で、確かに分かることは三つだ。

 一つ――紫は自分の座席でスナイパーによって射殺される。タイミングは、縁がターゲットを攻撃した時とほぼ同時。しかし、誰に、どこから撃たれたかは分からない。

 二つ――縁はターゲットの霊子線を切ることに成功するが、直後敵に捕らえられ、心象領域に囚われる。咄嗟に、俺に警告をする程度の時間的余裕はあった。そして、恐らく呪いが掛けられていた訳ではない。

 三つ――あの歌劇場での被害者はそれだけ。その他の無関係な観客や劇団員は被害を受けなかったし、逃げる俺たちに追撃が加えられることもなかった。

 これらの情報から、敵の手を読み、それを逆手に取って、縁と紫が死なない未来を導かなければならない。

「まったく……無茶言ってくれる」

「うん? 何ですか?」

 隣の縁が、俺を覗き見る。俺は首を振った。

「いや、独り言だ。それより、スナイパーがいるとしたらどこだろう?」

 今は、ホテルの一室。オペラ・バスティーユの座席表を広げ、五人で顔を合わせている。そして、現在時刻――既に、夜の九時。どうしても外せなかったドレスの試着と、ついでに現場の下見を先に済ませた結果だ。

 貴重な二日のうちの一日が、終わろうとしている。

「今日下見した感じですと、やはり左右のボックス席で、かつ舞台に近いこの二つの席が最も怪しいのではないでしょうか? 同じ側のボックス席以外はおおよそ見通しを効かすことができますから」

 イレーネが座席表の端を指差す。そして、首を傾げる。

「ですが、この警戒は本当に必要なんでしょうか? スナイパーがいるということは、我々の狙いを敵側は知っているということです。その可能性が一考に値するものだとは、どうしても思えないのですが……」

 イレーネが腑に落ちないという顔でボヤく。そしてその疑問は尤もだった。今回の任務はTS1(第一級極秘任務)であり、しかもその方法(オペラ公演に混じっての暗殺)は、パリに着いてから自分たちで決めたものだ。よって、この状況で正確にこちらの狙いがバレているのだとしたら、それは味方の裏切り以外有り得ない。

 だが俺は知っている。そのあり得ない事態が、決して妄想ではないことを。

 評議会が――ソフィアさんが敵方に通じている。その最悪の推論は、しかしあの未来を経験している以上、決して否定できるものではなかった。

 何故なら評議会の目的は、本来の任務の遂行ではなく、〝俺に事象改変の力を自覚させる〟という一点に収斂されているようにしか思えないからだ。

 俺をスイスに呼んだのも、暗殺任務につけたのも、そこにイレーネを加えたのも、そして……紫が死に、二人が捕らえられるという最悪な結果になったのも、ひとえに、俺に事象改変の力を使わせるためのお膳立てだったと考えるとしっくりくる。

 しかし、その意図については……まったく予想できなかった。評議会は俺に何をさせたのか、もしくはさせたがっているのか……それが分からないから、すべての行動が鈍くなる。

 極論、ターゲット二人をこのまま暗殺して良いのかも分からなくなる。彼らは本当に悪魔に取り憑かれているのだろうか?

「か、ず、と、君! 聞こえてますか?」

「え?」

 いつの間にか、随分と深く物思いに耽っていたようだ。気づくと、全員の視線が俺に集中している。

「あ……いや……ごめん。何でもない」

 視線を逸らして誤魔化す。だが――

「何でも……ありますね。よし、今日はもう終わりにしましょう、もう遅いですし。明日朝八時に、また皆さんここに集まってください。では、解散!」

 そう言って、唐突に縁が締める。イレーネも俺の様子のおかしさを察していたのだろう。僅かに首を振るだけで何も言わず、挨拶を残して部屋を出ていく。ソフィアさんもそこは同様で、微笑みと共に、部屋を出て行った。

 残ったのは、縁と紫。

 扉の前で二人を見送った縁が、腰に手を当てて振り返る。

「では和人君。話してください。今朝からちょこちょこおかしな考えが過ってるなとは思ってましたが、流石にもう決定的ですね。私に隠し事なんて、百万年早いです」

 縁の眼光が俺を貫く。

 やはりバレてたか……

「……一応、バレないように気を付けてた筈だったんだけどな」

「無理に決まってるでしょ。私、人の考えが読めるんですよ?」

「でも、それって意識を向けた対象のだけでしょ? だから、縁がこっちに意識を向けてる時は考えないように注意してたんだけど」

「……え?」

 それを聞いた縁が、驚いた顔をする。

「私、それ話したことありましたっけ? てっきり和人君は、私が無差別にみんなの考えを読んでるって勘違いしてると思ってました」

「最初はそう思ってたんだけどね……」

 そう。最初は何故か勝手な思い込みで――いや、違う。過去の世界での経験から、縁の能力をそう解釈していた。

 だが、流石に半年間も一緒にいれば、分かるものだ。

「縁が怒りそうなことを考えても、反応する時としない時があったからさ。それに気づけば、あとはいくつか実験するだけですぐに分かったよ」

「むむ……なら言ってくれれば良かったのに」

「お互い様だ」

 勘違いしていた方が色々と面白かったから、お互いに言わなかった。それだけだ。

「まぁ……確かにそうですね」

 縁も納得する。

「でも、今回はそれがカムフラージュできないほど動揺していると。どういうことですか? どうも私には、あなたがタイムトラベラーになったと錯覚しているように思えるんですけど」

「タイムトラベラー?」

 紫が首を傾げる。

「それって……どういうこと? 和人君は実は未来人だったとか?」

「いや、そういう訳でもなさそうなんだけど……」

 縁が、困った顔で俺を見る。

「ただ詳しくは、和人君本人から話して貰いましょう。一体、和人君に何が起こったのか、和人君は何を知っているのか。そして、三人で考えましょう。きっと良い解決方法が見つかりますよ」

 縁の顔に、優しさが灯る。縁の言葉を聞いた紫も、同じ顔をして頷く。その温かさが、氷結していた俺の心を溶かす。

(そうだ。一人で抱え込むなんてらしくない。俺は二人と一緒にいる道を選んだんだから。三人で力を合わせれば、絶対に違う結末に辿り着く)

 そう心に言い聞かせて、そして二人に頷き返す。

「ありがとう。ちゃんと話すよ。本当に、信じられないような話だけど――」

 そう前置きして、話し始める。

 半年前の経験。縁も紫も、誰も知らない。俺だけが知る世界の物語。

 始まりは――肝試しだ。


「……不思議な話ですね」

 一時間近くに及ぶ俺の一人語りが終わり、縁がそっと呟いた。

「和人君が祥子に殺されて、それを私たちが保護していた。そして最終的には魂を汚染された私を守るためにこの世界へと飛んだ……いや、もう〝この世界〟では無いんでしたっけ? 紫が殺され、私が敵に捕らえられ、和人君はもう一度跳んできた。あまりに突拍子もない話ですが……」

 そこで縁は一拍置いて、続く単語を口にする。

「『キュレーター』――その単語、私たちは和人君に言った記憶はありません。私が知る限り、イレーネとソフィアさんも。ならそれは、和人君が知るはずの無い言葉です」

「そのくだり、前の世界でもあったよ。キュレーターの噂。ユートピアを実現させようとしてるとか」

「えぇ。前の世界線の私から聞いているなら、話は早いですね。ちなみにその話が出た時、紫はそばに?」

「紫? いや……いなかったけど。縁の結界の中だったし」

 何故、いきなり紫の名前が出たのか分からず、首を傾げる。すると縁は、

「この手の噂は、私よりも紫の方が詳しいんですよ。私はあまりそういうことに興味がないのと、霊だから話せる人間が少ないからという理由で。紫、キュレーターについて、何か知っていることはある?」

「ん〜お姉ちゃんが知らなそうな話だと……」

 紫が少しだけ考える。

「キュレーターは『因果の蒐集者』って呼ばれてるけど、そのことは知ってる?」

「因果の蒐集者?」

「そう。因果の蒐集者はアーカーシャの記憶にアクセスして、人類の未来を作り替えようとしてる」

「……アーカーシャの記憶?」

 聞いたことのない言葉が続く。縁も、隣で眉を顰めた。

「そんな噂があるの? 流石に眉唾でしょ」

「噂なんて、そんなものだから」

 縁も、当の紫も信じていないような口振り。何なんだ? そのアーカーシャの記録って。

「人類の歴史が全て刻まれていると言われる、神の記録層です。高次の霊界に存在すると言われていますが、それを確かめる術がないため、詳しいことは分かっていません。当然、人間にアクセスする権利はない」

 縁が説明してくれる。そして、紫が言葉を付け足した。

「噂では、アーカーシャの記憶には、起こった事実だけじゃなくて、『起こり得た過去』と『可能性の未来』も記載されてるみたい。だからキュレーターはそれにアクセスすることで、人類の因果を操作しようとしてるっていう噂」

 壮大過ぎて、よく分からない話だ。それが本当なのか嘘なのか、それを判断することも、当然俺には出来ない。

 そしてそれは縁も紫も同様で、胡散臭げな顔をしつつも否定し切ることは出来なくて、困ったように沈黙を続ける。

 だがそれでも、やがて縁が口を開いた。

「いずれにせよ……良いように和人君が評議会に利用されている現状は看過できませんね。力を自覚的に使えるようになった以上、どんな無茶を言われるか分かったものではありません」

「逃げる?」

 紫が首を傾げる。

「そうだね……和人君の力を使えばあるいは。でも……そうか。副作用、あるんですよね?」

 俺は頷く。

「それにもしかしたら回数制限も。だとしたら、かなり厳しい」

「そうですね。それに相手がどこまで未来を把握しているのかどうか……噂の真偽は分からない以上、相手の手数が読めない。そんな状態で碌な逃亡ができるとは思えません」

 重苦しい沈黙が周囲を満たす。だから、俺は口を開いた。

「逃げるのは止めよう。あまりに勝算が薄いし、それに評議会だって俺の力が欲しいなら、それほど無茶なことは言ってこないでしょ。それこそ、俺が協力しなくなったら終わりなんだから」

「なら良いのですが……」

「どうしても受け入れ難い場面に遭遇してから賭けに出ても遅くはないよ。今のところはまだ……」

 と言いかけて、しかしあることに思い至った。

「いや……一つだけ気になってることがあった。ターゲットが悪魔に取り憑かれてるっていうのは、本当なのかな?」

 今回の任務が、俺に能力を自覚させるために仕組まれたものだとしたら、その前提すら壊れる可能性がある。

「どうでしょうか……彼らの思想があまり良くないのは確かでしょうが、本当に悪魔に取り憑かれてると断言できるほどのものか……それを判断するだけの情報は正直ありません」

「そうか……」

 先日縁がしてくれた、離反したエクソシストを粛清した時の話が脳裏をかすめる。果たして本当に、この任務は実行して良いのだろうか?

「やっぱり、逃げましょうか……」

 縁がポツンと呟く。

「こんな状態で彼らに従い続けても、いずれ無理になります。それなら、今の段階で動いた方がまだ……」

「でも……未来は読まれてるかもしれないよ?」

 紫が不安そうに溢す。

「そうもしれないけど……でも、やっぱり普通に考えてそんなのあり得ないでしょ。アーカーシャの記憶にアクセスできるのは高次の神々だけ。にも関わらず、神の目を盗んでそんなことまで出来るなんて、どう考えても思えない」

「それは……そうだね」

 紫も、躊躇いがちに同意する。やはり彼女も、その噂の信憑性は限りなく低いと思っているようだった。

 そしてその反応を見て、縁が決意したように頷く。

「良し……逃げよう。夜のうちにタクシーを拾って、まずパリから離れて――」

 縁の言葉は、そこまでしか聞こえなかった。

 唐突に、窓が割れる音が鼓膜に響き、その音が消えるより前に、紫が音もなく倒れる。

「……紫?」

 一瞬で広がっていく血溜まりを前にして、ただ呆然と問いかける。そんな俺を、縁が蹴り飛ばした。

「馬鹿!! 窓から離れて!」

 壁に身体を強かに打ち付けて、一瞬視界に星が舞う。

「クッ……」

 なんの備えもしていなかったせいで、かなりの衝撃だった。その衝撃に頭が揺さぶられ、そのまま舞い踊る星たちと一緒に昇天しそうになるが、なんとか踏み留まり、顔を上げる。

 目の前では、宙御霊剣を構えた縁が窓の向こうを凝視していた。

「……縁?」

 だが、一目見て分かった。もうその霊体からだからは、何の意思も感じられない。

「不思議よね。なんで霊体ってこんなにも綺麗なのかしら」

 声が聞こえて、まるで油が切れた機械のように、ギコギコと首を巡らす。戸口に、ソフィアさんが立っていた。

「肉体に比べて、霊体って本当に純粋。透明で繊細で……とても御しやすい」

 部屋に入ってきたソフィアさんが、固まったままの縁の頬を撫でる。

「……何をしたんですか?」

 足に力を入れてヨロヨロと立ち上がる。怒りよりも、諦念の方が大きかった。

「彼女たちには内緒にしていたけれど、実は少しだけ彼女たちの幽体に細工を施していたのよ。まだ彼女たちが、こ〜んなに小さかった時のことだけれどね」

 ソフィアさんが戯けたように、両手で円を作る。

「でも安心して。縁さんでも気付かない程度の簡単な呪いでしかないから。効果も、ただ魂を休眠状態にするだけで、まったく苦しみはないの。彼女たちが苦しむ姿なんて、私も見たくないもの」

 ソフィアさんが妖艶に微笑む。

「でも残念ね、逃げられなくて。けれど……それも仕方ないでしょ? 私たちだって、今回は随分手間をかけたのよ? 私だって、もう二回も死ぬ羽目になったし。だから和人君には、この辺りで素直になって貰いたいのだけれど……どう?」

 ソフィアさんが首を傾げる。

 でも……頷けるわけがない。こんな形で、納得できるはずがない。

 俺は、静かに首を振った。

「そう……まだ、争うのね」

 残念そうなソフィアさんの声。だがすぐに、その声はいつもの調子を取り戻した。

「まぁでも、構わないわ。これから始まるのは、長い長い旅の一幕。それが始まる前に、少しばかり寄り道をする時間くらいあっても良いと、私はそう思うもの」

 そんなソフィアさんの言葉を聞きながら、俺はただ、一つのことだけを思う。

 それは――二人と共に生きる未来。二人と歩む世界。

 だから俺は、瞼の裏に浮かんだ縁と紫の笑顔に向かって……彼女たちの光を目掛けて……

 一心不乱に飛び込んだ。


     〜〜〜〜


「和人君、起きてください。まったく……今日はいつになく寝坊助ですね」

 遠くで声が聞こえる。だが、あまり良く聞こえない。小学生の時によくかかっていた貧血を思い出す。

「……縁か?」

 薄目を開けて、周囲を見る。

 最近見慣れた天井。宿泊しているホテルの一室だ。

「そうですが……大丈夫ですか? よく見たら、なんとなく顔色悪いですよ?」

 その言葉で思い出した。悠長に寝ている余裕はない。

「縁、紫を呼んで」

「紫ですか? 紫は今シャワー中です。覗いたら殺すそうです」

「途中でも良いから呼んできて」

「途中でも良いって、またどうして…………いや、分かりました」

 恐らく、俺の考えを読んだのだろう。顔を僅かに引き締めた縁が立ち上がる。

「動けますか?」

「あぁ……多分」

 ベッドから半身を起こす。なんとか、起き上がるくらいはできるみたいだ。

「今、紫呼びましたから。来たら、聞かせてください」

 俺は頷く。

 何をどう話すのか……頭の中で整理を始めながら。


「逃げましょう」

 縁の決断は早かった。

「前回は、世界を跳んでから逃げ出そうとするまでに時間をかけ過ぎています。でも今なら、まだそれほど時間が経っていない。敵も動き出していないかもしれません」

「でも呪いが……二人に掛けられた呪いをどうするか考えないと。遠隔で使われたらお手上げだよ」

「それは多分……大丈夫です。確かに呪いの存在には気付いていませんでしたが、言われて注意すれば、その痕跡くらいは分かります」

 縁がそう言って、自分のお腹に触れる。手がお腹の中に入っていった。

「感覚としては……この辺り。効果までは分かりませんが、和人君が話した通りなら魂の封印でしょう。かなり強力な呪いですが、それを極限まで細分化して埋め込んでいますから、制限も大きい。自律起動どころか、指令を受けることも不可能です。きっと何かの刺激をトリガーにして、勝手に発動するタイプだと思います」

「かなり具体的に分かるんだね」

 驚く俺に、縁はウインクする。

「私は優秀ですから。痕跡さえ見つけられればそれくらいの解析はできるんです」

 そして、そう言うが早いが、縁の姿がサッと掻き消える。

「縁?」

「大丈夫。周囲の偵察に行っただけだから」

 すると、今度は紫が俺に近づき、腕を取った。

「歩ける?」

「あぁ……大丈夫。ありがとう」

 紫の肩を借りつつ、足に力を入れる。少しよろめいたが、立ち上がることができた。

「部屋、及びホテル周辺に敵影は見えません」

 その僅かな間に、周囲の偵察を終えた縁が帰ってくる。

「やはり敵にも制約がありますね。今のタイミングで私たちの動きに対処できていないというのが良い証拠です。暁光ですよ」

 そう言って、縁が紫の方を見る。

「紫、和人君を連れてまずは郊外へ。逃げ先は紫がその場で決めて。出来る限り気紛れにね。私は周囲を警戒してるから」

「分かった」

 短くそう答えた紫が、俺を引っ張る。

「和人君、行くよ」


 幸い、タクシーはすぐに捕まった。

 目的地は、取り敢えず国境沿いの街リール。既に二時間近く車を走らせ、もう目と鼻の先だ。

 着いてから先のことは紫の気分次第だが、国境を超えてベルギーに渡るか、もしくは更にフランス国内を転々とするか、どちらかになるだろう。

 とにかく、敵にこちらの足取りを掴ませないようにしなければいけない。

「……やっぱり噂だったね」

 不意にポツリと、隣に座っていた紫が呟いた。

「? なにが?」

 考え中だった逃亡計画をひとまず脇に置き、紫の顔を覗き込む。

「キュレーターがアーカーシャの記憶にアクセス出来るって話。もし本当にアクセス出来るなら、今頃捕まってないわけないもの。私たちが取りうるあらゆる未来は、向こうに知られている筈なんだから」

 それは……確かにそうだ。でもそれだと、何故前の世界では逃亡の直前に襲撃されたのだろうか?

「それは単に、監視されていたからだと思う。相手に一日時間をあげちゃったから、それで包囲網を作られた。でも今回は初動が早い。だから、アーカーシャの記憶なんていう裏技を持っていない以上、対応が間に合ってないんだと思う。これならきっと、逃げられる」

 そう言うと、この世界に来て初めて、紫はその顔に笑みを作ってくれた。優しく、それでいて力強い笑顔。

 それは、希望の微笑みだった。

 エクソシストとして、第一線で活躍してきた紫が示した希望は、俺の勝手な予想とは違って、かなり大きな意味を持つ。見えない先行きに重く沈んでいた心が、少しだけ軽くなった気がした。

 だからだろう。気付くと、俺も笑みを返していた。特に無理をするでもなく、今の気持ちを代弁するように、自然と顔が綻んで……

 そんな俺に、微笑んだままの紫がゆっくりと倒れ込んでくる。それはさながら振り子のような、綺麗な円運動。

(紫……?)

 咄嗟に腕を伸ばした俺の胸に、抵抗なく紫が収まった。女の子らしい柔らかさと、心地よい温かさが身体いっぱいに広がる。

 その感触に身を委ねつつ、紫の頭に自分の頬を押し当てながら、彼女の向こう側へと視線を移す。

(……紫)

 そこには、穴があった。

 窓ガラスに出来た、小さな虚無空間。そしてそこから放射状に――さながら蜘蛛の巣のように広がる派手なひび割れ。

(弁償……しなきゃな……)

 紫の背中に回した両腕に、粘つく液体が滴るのを感じながら、益体もなくそんなことを考える。

 タクシーが路上で停止したのは、その直後だった。


「和人君。今度は随分と遠くまで逃げたのね。お疲れ様」

 どれくらい時間が経ったのだろうか。気がつくと、ソフィアさんが割れた窓からこちらを覗き込んでいた。

 既に運転手の姿は見えない。逃げたのか、殺されたのか……出来れば、前者であって欲しいなと思う。

「でもこんな街中で狙撃なんかしたせいで、流石にちょっとした騒ぎよ? ここら一帯に認識阻害を掛けてるから多少時間は稼げてはいるけれど……そろそろそれも限界かしら」

 その言葉でようやく、俺は既に冷たくなり始めていた紫から身体を離し、周囲を見渡した。

 確かに、今のところ人の姿は見えない。ただ、遠くで聞こえるサイレンの音が……やけに喧しい。

「どうして……分かったんです?」

 もうあまり頭は働いていなかったが、その言葉だけはすんなりと出てきた。何故失敗したのか、その理由は知っておかなければいけない。

「言ったでしょ? あなたの行動は分かるんだって」

 しかし、返ってきた言葉には何のヒントも含まれていなかった。それを真実と見るか、それとも、さっきまで考えていたようにただのハッタリと見るか……今の止まった頭では到底答えは出せないし、むしろあと何度繰り返したところで、答えなんて出せないのではないかと、そんなことも思う。

 俺はもう一度、紫の顔を見る。

 美しい笑顔だった。血の気の引いた、人形のように澄んだ笑顔。

 俺はあと何度、彼女のこんな姿を見るのだろうか? あと何度、彼女の血潮を身に浴びるのだろうか? あと何度、消えゆく彼女の体温をこの身で感じるのだろうか?

 そして、その果ての見えない螺旋階段の頂上で……

 血の通った彼女の笑顔を見ることが……本当に叶うのだろうか?

「今度は、もう少し上手くやりなさい」

 ソフィアさんの声が響く。前の世界で俺が示した決意に、皮肉にも彼女が激励を贈る。その矛盾が、凍てつきかけていた俺の心に再び火を灯す。

(そうだ……まだ終われない)

 俺は再度、時を跳んだ。


     〜〜〜〜


「和人君、起きてください。まったく……今日はいつになく寝坊助ですね」

 頭上から声が聞こえる。少し苛立ちの籠った、縁が俺を起こす声。もう何度聞いたかも覚えていない。両手で足りなくなったくらいから、もう数えるのは止めた。

「ごめん。昨日、あまりよく眠れなくてね」

 しかし、この返答は今までの繰り返しの中では初めてだった。予めこの返答ができるように――起きてすぐに活動を開始できるように、今までで最も跳躍時間を短くしている。

「そうですか……でも、大丈夫ですか? よく見たら、いつもより顔色悪い気がしますけど」

 それでも、目ざとい縁には不調がバレてしまったようだった。あの程度の時間跳躍で顔色に影響が出るとは……なんとも不便な力である。

「光の加減だよ。大丈夫、ありがとう」

 疑いを抱かせないように、さりげない風で短く答え、そして続ける。

「ただ少し寝過ぎたせいで、頭がボーッとしてるかも。ちょっとだけ、外に散歩に出てくるね」

「そうですか? それはまぁ構いませんけど……この後、ドレスの試着に行かなくちゃいけないんですから、出来るだけ早く戻ってきてくださいね」

「あぁ……分かってるよ」

 俺は、机の上に無造作に置かれていた財布をポケットに突っ込み、部屋を出る。

 本音を言えば、縁ともう少し話をしていたいと思ったし、最後にもう一度、紫の顔を見てから行きたいと思ったが、それで決意が鈍ってもいけない。何十回と繰り返した中で見た、彼女たちの数少ない笑顔で、満足するべきだ。

 だから俺は、結局ドアを閉めるまで、一度も振り返りはしなかった。


 それからの行動も素早かった。

 前回以前の世界で、敵が動き出すまでに最低でも一時間以上の時間的余裕があることは分かっている。だから俺はソフィアさんに見つかることだけには注意して、ついでに思念を外に漏らさないことを意識して、まずは徒歩でホテルからできる限り離れた。

 十分ほど歩き、思念を縁にキャッチされることはないと確信できるほどに距離を取ると、目の前に来ていたバスに乗り込む。

 目的地は決めていないが……出来るだけ、遠くに。

 幸い、財布の中にかなりまとまったお金が入っているし、父親に持たされている世界共通のクレジットカードもある。それに何より、パスポートもちゃんと忘れずに身につけていた。幼い頃に身に付けさせられた習慣は、いつまで経っても抜けないものだ。

 俺はひとまず、この新しい逃避行が上手くいったことに安堵して、バスの背もたれに深く身体を沈めた。


     ***

 

 二日後、俺はスウェーデンにいた。

 特にスウェーデンに何か思い入れがあった訳ではない。ただ敵の追撃を逃れて、遠くに遠くにと道を進み続けたら、この北欧にまで行き着いたのだ。

 後悔が無いといえば……嘘になる。

 二人と共に歩みたくてこの世界に足を踏み入れたのに、待っていたのはたった一人の逃避行。後悔しない訳がない。

 ただ、それでも……それ以上に俺は、二人を守りたくてこの世界に入ったのだ。苦難や困難を分かち合うためにこの世界に入ったのだ。

 しかし、俺は思い知らされた。この幾度にも及ぶループの中で、身に染みて理解した。その最善の方法は、俺が二人の前から消えることなのだということに。

 二人は優しいから、俺が置かれた状況を知ると、必ず一緒に逃げようと言ってくれる。だから、色々な方法を試した。縁が意見を出し、紫が妙案を思い付いて――何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も。

 その結果、俺の両目には、彼女たちの新しい死に顔が映ることになった。今も目を瞑れば、瞼の裏にその一つ一つが再生される。もうこれ以上、そのバリエーションが増えるのには耐えられなかった。

 当然、自殺も試みた。

 だがこの成否については、試す前からある程度予想はついていた。

 この事象改変の力は、俺の意思とは関係無しに、俺の死をなかったことにする。死に方も関係するかもしれないと考えて、色々な方法を試してみたが……いずれも芳しい結果は得られなかった。

 残る方法として、老衰や病死は試す価値がありそうだったが……残念ながら、そんな時間はない。

 結果、自殺は駄目――かと言って、キュレーターの言いなりになることもできない。

 彼らは悪だ。容赦なく縁と紫を殺し、時には無関係の人間も大量に巻き添えにした。彼らに従うということは、俺も同じ穴の貉になるということだ。人として、その道を選ぶことは出来ない。

 なら……選択肢は一つしかない。

 逃げる――それもたった一人で。これ以上縁と紫を巻き込むことなく。これ以上、彼女たちの死に顔を見ることなく……

 俺一人であれば、もし仮に追い付かれても、なんとでもなる。彼女たちが殺されることを恐れることなく、何度でも過去に戻ってやり直せば良い。常に選択をやり直せる俺は、敵の裏を掻き続けることができるのだ。

 あとは、根気勝負。失うものがない分、俺が負けることはない。

 事実、スウェーデンのとある安宿に腰を落ち着かせるまでの間に、既に三度敵に追い付かれ、その度に逃げおおせている。

 敵を巻くたびに、次に敵が現れるまでの時間も伸びてきているし、いずれは本当に逃げ延びられるかもしれない。


 ――こんこん


 その時、不意に扉が叩かれる音が聞こえて、俺は身を起こした。

(宿屋の主人かな? まさか敵が、礼儀正しくノックをしてくるとは思わないけど……)

 念のため、用心してドアの覗き窓から来訪者を確認する。

 見たところ、武装した殺人鬼ではなかった。かと言って、宿屋の主人かと言われれば、そうではない。帽子を被った二十代くらいの青年だ。よく見ると、帽子には何か企業のロゴらしきものが付いているから、もしかしたら配達業者かもしれない。

 だとしたら、部屋違いだ。俺は配達業者を頼んでいないし、昨日ここに移ったばかりで、誰かが荷物を送ってくることはあり得ない。

(……)

 けれど、いつまで経っても、その青年はドアの前から離れなかった。不安そうな面持ちでキョロキョロしながら、それでも数十秒おきのノックを繰り返す。

(はぁ……仕方ない)

 先に根負けしたのは、俺の方だった。

 仕方なくドアを開け、荷物の配達先が間違ってることを伝えることにする。

 だが、予想以上のその青年は必死だった。俺が何かを言う前に、何事かをスウェーデン語でまくしたて、次いで小さな紙を手渡している。

 その紙は、配達票だった。

 書かれた宛先は、このホテルの三〇一号室。その下には……俺の名前。

 間違いなく、俺宛だった。

 嫌な汗が背中を流れ、咄嗟に受け取りを拒否しようと手を上げる。

 だがそんな俺の意思に反して、俺の手は独りでに動き出し、流れるように紙面上にサインを残した。

「Tack!!」

 恐らく、『ありがとう』とでも言ったのだろう。

 青年は安堵したような笑みを浮かべると、サッとその紙を引っ込めて、代わりに一つの荷物を手渡してきた。

 結構大きい。持ち運ぶ時は、両手で胸に抱える必要があるだろう。

 高級そうな――桐の箱だ。

「ありがとう……ございます」

 こんな時でも、日本人の習性が出てしまうのは、何故なのだろうか?

 心のこもっていない謝意を口にして、俺はようやく、ドアを閉める。

 ずっしりと重い桐の箱だけが、手元に残った。


 気づくと、外が暗くなっていた。

 配達員が来たのが十六時くらいだった筈だから、もしかしたらもう二時間くらいは経っているのかもしれない。部屋には当然時計もあり、それを見れば正確な時刻は分かるのだが、まったくそんな気はしなかった。

 この桐の箱から目を逸らすことが、どうしても出来なかったのだ。

 だから、俺が最終的に腰を上げたのは、更に一時間ほど桐の箱を見つめてからだった。既にもう外は真っ暗で、明かりがついていない部屋では、一寸先を視認するのも難しい。

 だから、すぐそばにあった卓上灯を探す。幸い、それは暗闇の中でも変わらずそこにいて。難なく、明かりをつけることが出来た。

 それでも、卓上灯一つでは、まだまだ暗い。歩き回れば、きっと机の角にでもぶつかるか、棚の縁に足の小指をぶつけることになりそうだ。

 だけど……机の上の箱を弄るくらいなら、支障はない。

 覚悟を決めた俺は、恐る恐る、手を伸ばした。

 凝った箱だ。蓋で箱を覆うタイプではなく、観音開きの扉が正面に付いている。きっと、異国のホテルの一室などではなく、日本家屋の仏壇の中にこそ、納められるべきものなのだろう。

 扉には、鍵はかかっていなかった。取手に手をかけ僅かに引くと、何の抵抗もなく扉が開き……

 中から、待ち人が現れる。

「紫……」

 それは静かで、綺麗な寝顔だった。

 傷ひとつない。

 花に覆われ、少しだけ化粧もされていて……とても穏やかな微笑を浮かべている。

「紫……」

 手を伸ばして、頬に触れる。

「冷たい……」

 まるで、陶器のようだった。すっかり体温を失ったその頭は、その白さも相まって人のものとは思えない。

「さ……き……」

 だが、事実は一つだ。この作り物のような首は、紛れもなく彼女の一部。大好きな女の子の……成れの果て。

「……」

 もう立っていることは出来なかった。

 全身から力が抜けて、その場に崩れるようにしゃがみ込む。その拍子に、目から何かが溢れたような気がしたが……それも茶色い床に吸収されて、跡形もなく消えていく。

 何一つ……残らない。


 パサッ……


 けれど次の瞬間、一通の手紙が舞い落ちた。

 顔を上げる。すると、紫の頬に伸ばした手が周囲に敷き詰められた花に触れ、その囲いを崩していた。恐らくその中から、この手紙は零れ落ちたのだろう。

 俺はゆっくりとその手紙を拾い上げ、中を見る。

 そこにはただ、こう記されていた。


『そろそろ、次の幕を上げましょう』

 

     〜〜〜〜


「あら。体調はもう良いの? 顔が真っ青で今にも死にそうだって、縁さんが随分騒いでいたわよ?」

 ソフィアさんの部屋を訪ねると、ベットに優雅に腰掛けたソフィアさんが、透明な液体が入ったグラスを片手に、気さくに話しかけてきた。

 もう、取り繕う気はないみたいだ。

「午前中一杯休みましたからね。最初と同じくらいの時間跳躍だったんですが、多少は楽だった気がします。慣れたんですかね」

「それは素晴らしいわね。慣れるというのは、とても大事なことよ。それはどんなことに対しても。例えば、そう――『お酒』とかでもね」

 そう言って、ソフィアさんは手にしたグラスを僅かに掲げる。

「……ウォッカですか?」

 お酒に対して大した造詣もないため、単なるロシア人への先入観だったが、それは当たりだったようだ。「正解」と、ソフィアさんが微笑む。

「でもこれは特上品。フランス産の『グレイグース ラ・ポワール』って銘柄のウォッカ。ラ・フランスの香りと、ベルベットのような繊細な口あたりが相まって、とっても美味しいの。ウォッカが駄目っていう人も、これならきっといけるわ」

 そう言って、ソフィアさんが手にしたグラスを俺に差し出す。俺は躊躇なくそれを受け取り、一口であおった。

 口一杯に柑橘系の香りが広がる。ウォッカと思えないほど、ソフトで優しい印象の味だった。

「ようこそ、和人君」

 それを見たソフィアさんが、嬉しそうに微笑む。

「我らキュレーターの世界へ。私たちはあなたを歓迎するわ」

 しかし俺は、そんなソフィアさんの言葉を無視して、飲み干したグラスを無造作に床に落とす。

 ガラスの破片となったグラスは、甲高い音と共に四方に飛び散った。

「そんなことより」

 俺は口に含んだウォッカを吐き捨てながら、ソフィアさんに告げる。

「早く幕を上げましょう。意味もなく舞台を彷徨うのはもう沢山だ」

「……フフッ。そうね」

 散らばったグラスの破片を目で追いながら、ソフィアさんが薄く微笑む。

「始めましょう。散らばった破片を、一つに紡ぎ上げる旅を」

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