第2話

 昨日はあれから結局朝まで眠れなかった。


 青天の霹靂とは、今の自分の状態を言うのだろうか?


 予想もしない出来事が突然起こったのだ。


 今まであった自分の価値観がひっくり返ってしまった。


 今思い返しても、あれは本当の出来事かと疑ってしまいそうになるが、確かに見た。


 正雄は自分の目で見たものには否定しない。


 逆にどれだけ言い聞かされても、自分で確認しないコトには信用しないのだ。


 アレは居る。


 原理は分からないが、確かに存在するのだ。


 困ったものである、対処の仕方が分からない。


 はたして意思の疎通は図れるのだろうか。


 正雄の投げかけた言葉への返答がアレである。


 いきなり消えたのだ。


 常識ある大人の行動とはとても思えない。


 したがって意思の疎通は図れない、若しくは相手にその気がない。


 普通の人だったら、この場合どうするだろう。


 すぐに引っ越して二度と近寄らない。


 霊媒師とか言われる人を探して来てお祓いをして貰う。


 とまぁ大体こんな感じだろう。


 しかし正雄はそのどちらも選択出来ない、金が無いのだ。


 スマホに霊媒師、霊能者、と入れて取りあえずググって見たが、どれも有料だが金額の提示が無い、いったいどれだけ料金を請求されるか検討も付かない。


 正雄はしばらく考えた。


 このままほったらかす訳にはいかないだろうし、この先アレに好き放題されるのも嫌だ。


 昨日の一件だけで終わるとは思えない、下手をすればこの部屋に住み着いて居る可能性

だってあるのだ。


 そう考えると正雄は腹が立って来た、家賃を払っているのは自分だ。


 この先も住み着くならば、家賃の半分を請求しても罰は当たらないだろう。


 自分にはその権利がある。


 色々考えていくうちに怖いと思う気持ちが薄れていった。


「しゃぁ、次現れたときは家賃請求したる」


 正雄は独りで気合を入れた。

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